【徹底解説】今さら聞けないBPOの基礎知識と業者選定のポイント

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とはアウトソーシングのひとつですが、経営資源の観点から戦略的に実施するアウトソーシングです。コスト削減をはじめとして多くの経営的メリットを得ることができます。

多くの企業がBPOを活用しますが、期待したメリットを得られないことも少なくありません。成功するかは、業者の選定でほぼ決まると言っても過言ではありません。しかし、BPO業者の選定ポイントを解説している記事は多くありません。

そこでこの記事では、BPO業者を選定・導入してきたプロの視点から、おさえておくべきBPOの基本知識と選定のポイントをどこよりも詳しく解説します。この記事を読んで、BPOに取組む際の参考にして下さい。

1.BPOとは

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とはアウトソーシングの一種で、自社の業務プロセスを外部企業に委託することです。

通常の人材派遣や業務代行とは異なり、人事や経理といった業務をまるごと、経営戦略としてアウトソーシングするのが特徴です
外部の人を使う、特定のタスクを委託するといったことにとどまらず、業務のやり方、使用するシステム、その業務に関わる人材採用といったことまでを外部企業に委託するのです。

〈BPO概要図〉

BPO概要図

上図をみて分かる通り、BPOサービスを自社の一部門のように活用することができ、その部門には人材や経営資源を投入する必要がなくなります。その分だけコア業務に集中し、競争力を高めていくことができるようになります。

2.BPOサービスの5つのメリット

BPOサービスを利用することによって、前項であげた「経営資源の集中」に加えてさまざまなメリットを享受することができるようになります。

2.1.経営資源の集中による競争力の強化

経営をしていく上で経理や人事をはじめとしたコア事業でない間接業務にも社内の貴重な人材や経営資源を分散して割り当てる必要があります。それらを外部に委託して切り出すことで、それらの業務プロセスの運用、管理、設計、トラブルの対応といったことから自社のマネージメントを切り離すことができるようになります。
経営資源をコア事業に集中し、より競争力を高めることができるようになるのです。

2.2.業務の効率化

業務の改善には時間をかけて積み上げたノウハウが必要です。経営努力で改善をしていくことは可能ですが、時間がかかるうえに、間接部門には改善のための資源を避けないのが現状です。非効率のまま運用を続けていることはよくあることです。
「餅は餅屋」との格言の通り、その業務の専門企業に任せることで業務を効率的に運用してくれるようになります。

2.3.コスト削減

業務の効率化をすすめていくことでコストの削減につながっていきます。またBPO事業者は多くの顧客企業から同様の業務を請け負うことになるため、スケールメリットも出てきます。業務の効率化とスケールメリットにより、自社で運用するよりもコストダウンすることができるようになります。
また、人員や倉庫、システムを自社で抱えることによって発生する固定費を委託費用として変動費化することが可能となります。

2.4.セキュリティリスクへの対策

セキュリティの確保は業務プロセスの見直しやシステムの導入、社員教育と多くの経営資源を割かなければなりません。
BPO事業者にはISMS等の認証を取得しているところが多く、セキュリティの確保を契約に盛り込むこととで、適切なレベルのセキュリティ対策を施してくれます。

2.5.精度変更やグローバル化への対応

特に会計分野において顕著ですが、法制度の変化やグローバル化への対応が必要になってきます。自社でそれらにあわせた業務プロセス設計を行うのは困難で、BPO事業者のもつ専門的なスキルを活用することができることは大きなメリットです。

3.BPOサービスの対象業務と活用例

3.1.BPOサービスの対象業務

BPOサービスの対象業務は事務代行系や管理部門系をはじめ、さまざまな業務で活用することができます。ある特定の業務に特化したBPOサービス事業者もあれば、多くの業務を網羅するBPOサービス事業者もあります。下図のような構図が一般的ですが、これをBPOとして切り出したい業務を検討する参考にしてください。

BPOの業務範囲

3.2.BPOサービスの活用例

契約更新手続きの例をあげておきます。典型的な事務代行系ですが、データ入力に留まらず内容のチェック、書類の発送、データの管理、問い合わせ対応といった契約更新手続きに関する一連のプロセスを外部に委託することができています。
業務の効率化やセキュリティの確保はBPOサービス事業者が実施してくれるわけです。

KSKデータ

参考:KSKデータ

4.絶対におさえておくべきBPOサービス選定の5つのポイント

BPOサービス業者の選定基準はさまざまですが、一般的には以下の事項を見ることになります。

4.1.価格

BPOサービスの価格は企業と業務領域により大きく異なります。
必ず複数社に見積りを取りましょう。

4.2.業務に関する実績、専門性

業務に関する実績や専門性を確認しましょう。例えば、ITヘルプデスク専門でやっている企業とSIerが提供するヘルプデスクとでは、ITヘルプデスク専門でやっている企業の方がノウハウや経験も多く、得られる効果が高くなります。
ITや経理など専門性を求められる事業領域でBPOサービスを利用する場合は、実績と専門性を持つ企業を選びましょう。

ハウスコム

参考:ハウスコム

4.3.企業規模

企業規模も重要な選定基準です。企業規模が大きくなるほどより多くの範囲でBPOサービスを受けられる可能性があります。
まずは限定的にBPOサービスを活用し、他の領域にも適用範囲を広げていくのであれば、最初から企業規模が大きい企業を選ぶと良いでしょう。

トランスコスモス

参考:トランスコスモス

4.4.セキュリティ

BPOサービスは、自社業務の一部を委託するため情報漏洩などセキュリティの観点もとても重要になります。
信頼できるBPOサービス業者は、セキュリティポリシーを必ず持っていますので提示してもらいましょう。逆に、セキュリティポリシーを提示できない企業は信頼できないため選定から外しましょう。

日本アイデックス

参考:日本アイデックス

4.5.業務量に耐えられるか

業務量に耐えられるかも大きなポイントです。今後、企業規模の拡大に伴い業務量が増えた場合に対応できるだけの力がある企業か見極めが必要です。必ず過去の実績を提示してもらいましょう。

トゥルージオ株式会社

参考:トゥルージオ株式会社

これを基準に自社の求めることに応じて優先順位をつけてみてください。
BPOサービスと言えばコストダウンを真っ先に思い浮かべることになりますが、BPOは経営戦略の一つであり、コストだけでなく経営資源の適切な配分という観点で考えましょう。
また、BPOを委託するとその事業者とは長い付き合いをすることになります。事業者の社風や付き合いやすさも考慮しましょう。

5.まとめ

この記事では、おさえておくべきBPOの基礎知識や、BPOサービス選定のポイントについて詳しく解説してきました。BPOは経営資源の配分という経営戦略の一つです。コストダウンが目的になることも多いですが、自社が持たないノウハウを活用できるなど多くのメリットがあります。BPOサービスを最大限活用し、社内リソースを極力減らすという経営の考え方もあります。この機会に、BPOを自社に活かせるか検討してみて下さい。