【選定者必読!】システム部門が教えるタブレットPOSの全知識

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この記事にたどり着いた方は「検索しても製品サイトばかりでよく分からない」「最近話題のタブレットPOSってうちでも導入できるの?」という方が多いのではないでしょうか。近年タブレットPOS製品が大幅に増え、選択肢が広がってきました。しかし導入できるかは、その会社の要件によって異なります。

この記事では、タブレットPOSを導入することにより自社の要件を満たせるのか判断できるよう、プロの視点からどこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。この記事を読めばタブレットPOSの全体像を理解し、自社にタブレットPOSが適しているか判断できるようになります。

Contents

1.タブレットPOSとは

タブレットPOSとは、店舗で売上を計上・管理するために使用するPOSレジの一種で、ipadなどのタブレット端末を活用したPOSのことです。
飲食店やアパレルショップをはじめ、広く使われているPOSです。別名「モバイルPOS」とも呼ばれています。
以下のような構成で使用しますが、「タブレット端末」「キャッシュドロア」「レシートプリンタ」という最小構成でも使えます。

タブレットPOS構成

2.タブレットPOSの5つのメリット

2.1.POS導入費用を削減できる

タブレットPOSの場合、コンビニやスーパーなどで良く見られるターミナルPOSに比べて導入費用を大幅に削減することが可能です。例えば、一般的なターミナルPOSを導入するには1台あたり最低6,70万円程度はしてしまいます。1台100万円以上の製品も珍しくありません。そして老朽化した際の買換え時も同じ費用が掛かります。
一方タブレットPOSの場合、標準的な構成で、初期費用10~20万円程度で導入することができます。そのため小規模チェーンや個人店など費用が限られているお店でも導入できます。

2.2.誰でも簡単に設置できる。しかも省スペース

タブレットPOSは店員などシステムに詳しくない人でもマニュアルを読めば簡単に設置が可能です。ターミナルPOSやPC POSの場合、素人では難しく通常業者に有料で設置してもらいます。この費用も1店舗数万円かかり100店舗あれば設置だけで数百万円~1千万円以上の費用が必要になります。店舗数が多い企業はばかになりません。タブレットPOSにする事でこの設置費用を削減することができます。しかもコンパクトでスペースを取りません。

2.3.業務削減効果が高い

今まで小規模チェーンや個人店舗では、「ガチャレジ」と呼ばれる電卓機能、キャッシュドロア、レシート印刷のみの昔ながらのレジが主流で、売上分析は自分でExcelやノートで行わなければならず業務負担となっていました。
しかし、タブレットPOSを導入することで売上情報の分析、レポート出力、さらには在庫検索などが容易に行えるようになります。そしてチェーン店の本部はリアルタイムで売上情報を参照する事が可能になります。

2.4.店舗のビジュアルを崩さない

タブレットPOSは、iPadなどビジュアルに優れている製品が多く、お客様の見えるところにおいても店頭のビジュアルが崩れません。アクセサリーやアパレル、サロンなど店頭の高級感やファッション性を重要視する企業は活用すると良いでしょう。店頭のビジュアルを崩さないためにわざわざターミナルPOSをスプレーでカラー変更したり、見えにくい場所に配置する手間が無くなります。

2.5.プロモーションツールにも活用できる

持ち運びが容易でかつビジュアルにも優れているため、カタログを搭載してお客様へのプロモーションへも活用することができます。また、在庫が切れていた際にタブレットPOSで在庫を検索し在庫がある店舗を紹介するといったことも可能になります。

3.タブレットPOSの主な機能

近年機能が大幅に増え、レジ機能だけでなく飲食店用の機能や小売店用の機能、本部用の売上分析機能などが備わっている製品が主流となっています。ここでは飲食店・小売店共通の機能、飲食店用の機能、小売店用の機能を分けて解説します

3.1.共通機能

大分類

中分類

詳細

レジ機能

売上登録

会計時の基本的なレジ業務を行う機能です。
現金、クレジットカード、デビットカード、商品券、ポイントなどで売上計上する事ができます。売上時に在庫引落しも行います。

周辺機器連携

キャッシュドロア、カスタマーディスプレイ、レシートプリンタ、バーコードリーダー、クレジットカードリーダー、ポイントカードリーダーなどと連携する機能です。ワイヤレス連携できる製品も多いです。

売上管理機能

売上一覧
(ジャーナル)

商品別、店舗別、日別など集計された売上情報を参照する機能です。

売上分析

担当者別分析、時間帯別分析、ABC分析など売上分析をするための各種帳票を出力する機能です。

顧客管理機能

顧客登録

顧客情報を登録する機能です。購入履歴やポイント情報も管理まで管理できる製品もあります。

顧客検索

会員カード番号や名前などから顧客検索し情報を参照する機能です。

マスタ機能

各種マスタ

店舗マスタ、担当者マスタ、レシート印字マスタなど各種マスタのメンテナンスを行う機能です。

3.2.飲食店向け機能

大分類

中分類

詳細

予約管理

予約入力

お客様の来店予約を登録する機能です。

予約台帳

お客様の来店予定をカレンダーで確認する機能です。

オーダー管理

オーダー登録

お客様の注文を登録しする機能です。

調理指示

キッチンに配置されたキッチンプリンターに注文内容を配信する機能です。

伝票出力

お客様に渡す注文伝票を出力する機能です。

テーブル管理

空席在席管理

テーブルの空き状況を管理する機能です。
経過時間の自動計算ができる製品もあります。

3.3.小売店向け機能

大分類

中分類

詳細

仕入

 

発注

仕入先への発注情報を登録する機能です。登録すると仕入予定として一覧で参照する事ができます。

仕入

仕入と在庫計上する機能です。「仕入」といいつつも「買掛け」データは作られない製品がほとんどです。

在庫管理機能

在庫検索

自店や他店舗の在庫を検索する機能です。商品名や商品コード、バーコードなどを入力して検索します。入力しなくてもバーコードをスキャンすることで検索できる製品もあります。

棚卸

棚卸情報を登録する機能です。

移動機能

移動

他店舗や倉庫、本部へ商品を移動する機能です。

商品管理機能

商品登録・更新

商品マスタの登録や更新を行う機能です。手入力やCSVファイルなどからアップロードすることも可能です。仕入機能がなく、商品登録機能から在庫登録する製品も多いです。

商品検索

商品を検索し、商品情報を参照する機能です。
お客様に問合せを受けた際に他の色を調べるなど販促に活用することができます。

4.導入事例

4.1.Zoff

Zoff

おしゃれなデザインのメガネをリーズナブルで製造・販売しているメガネショップの「Zoff」はターミナルPOSの老朽化に伴い、費用を抑えてPOSを入替ることが課題となっていました。そこで、現在のPOSと同等の機能を持ち、かつ導入費用を抑えることができるタブレットPOSを採用しました。タブレットPOSを採用したことにより、費用を抑えて2015年4月までに国内159店舗すべてのPOSを入替る事ができました。

数年前までは、タブレットPOSは機能が限られていたり、カスタマイズできない製品が多く「Zoff」クラスの企業に導入することは難しいのが現実でした。しかし昨今タブレットPOSも機能が強化され、カスタマイズ可能な製品も登場したことにより中規模以上の会社でも導入可能になってきています。

4.2.八海山 千年こうじや

八海山

あの日本酒「八海山」で有名な株式会社八海山は、日本橋の高層テナントである「コレド室町」にアンテナショップとしてお酒が飲め、八海山の商品を買える「八海山 千年こうじや」をオープンしました。
オープンする際に課題となったのは、「コレド室町」という店舗のデザイン性を重視するテナントにおいて従来のターミナルPOSはデザインがそぐわず導入できないという事でした。また、「飲食店」+「小売店」という業態も特殊で課題となりました。

そこで、近年飲食店や小売店に多く使われているタブレットPOSを導入することにしました。タブレットPOSを導入することにより、デザイン的な課題を解決するだけでなく、「飲食店」+「小売店」という特殊な業務を円滑に回すことができるようになりました。

5.タブレットPOSの費用~ターミナルPOSとの費用比較~

タブレットPOSは費用を抑えて導入できる事が大きな魅力です。ここでは初期費用、月額費用についてターミナルPOSと比較して解説します。

5.1.初期費用

費用項目:

タブレットPOS/台

ターミナルPOS/台

POS端末

\65,000

\500,000

キャッシュドロア

\10,000

\10,000

カスタマーディスプレイ

\30,000

\30,000

レシートプリンタ

\50,000

POS端末に付属

バーコードリーダー

\15,000

POS端末に付属

カードリーダー(クレジット対応)

\25,000

POS端末に付属

設定/設置費用

\100,000

合計

\195,000

\640,000

〈構成情報〉
ターミナルPOS:東芝テック「MP-80」
タブレットPOS端末:ipad Air2 wifiモデル 64GB
キャッシュドロア:エプソン「DSA-35ED3」
カスタマーディスプレイ:エプソン「DM-D30」
レシートプリンタ:エプソン「TM-T2011」
バーコードリーダー:unitech「MS910」
カードリーダー:MIURA Systems「M006」

ターミナルPOSの端末費用は導入数が多いほどかなり割引してもらえるケースが多いです。定価50万円であれば最大30万円程度まで値引きしてもらえるケースもあります。

もっと費用を抑える方法

タブレットPOSとはいえ、周辺機器を追加するとそれなりの金額になります。ただし、カスタマーディスプレイを無くしたりもっと安価な周辺機器を選択することにより10万前半~15万程度にまで費用を落とすことが可能です。また、端末をソフトバンクなどからレンタルすることにより初期費用を削減する事も可能です。
コストの下げ方は、以下の記事でも詳しく解説しています。合せて読んで理解を深めて下さい。

【IT機器調達コストの下げ方】リース・レンタル・割賦とは

5.2.ランニング費用/月額

費用項目

タブレットPOS/台

ターミナルPOS/台

端末保守費用

\5,000

月額利用料

\4,000

回線費用

\5,000

\10,000

ヘルプデスク費用

\5,000/店

合計

\9,000

\20,000

タブレットPOSの月額利用料は「スマレジ」のプランより

ランニング費用はぱっと見月額では大きく変わらないように見えます。
ただし、POSを複数台入れるような店舗や店舗数が多い企業になるほどその差が大きく響いてきます。仮に店舗数が10店舗で期間を1年間で計算してみます。

5.3.ランニング費用/10店舗・年間

費用項目

タブレットPOS/台

ターミナルPOS/台

端末保守費用

\600,000

月額利用料

\480,000

回線費用

\600,000

\1,200,000

ヘルプデスク費用

\600,000

合計

\1,080,000

\2,400,000

このようにランニング費用も店舗数が増えるほど顕著に金額の差が広がってきます。ランニング費用でのメリットもご理解頂けたのではないでしょうか。

6.知っておくべきタブレットPOSの3つの注意点

費用面でメリットの大きいタブレットPOSですが、知っておくべき注意点もあります。

6.1.盗難されやすい

「タブレット」という持ち運びが簡単という性質ゆえセキュリティ対策をしっかりしないと簡単に盗難にあってしまいます。お客様からの盗難はもちろんのこと、実は店員など社内の人間による盗難の方が多いのが現実です。セキュリティケーブルをつなぐなどしっかり対策しましょう。

6.2.壊れやすい

「タブレット」という精密機械のため、ぶつけたり落としたりした拍子に簡単に割れたり壊れたりします。すぐ交換できるよう予備を置いたり、固定してしまうなどの対策が必要です。

6.3.カスタマイズできない製品が多い

タブレットPOSはほとんどがASP型の製品です。そのため自社の要件にあわせてカスタマイズできない製品が多くあります。カスタマイズ可能な製品もありますが、その分月額費用が高くなります。

7.タブレットPOSが向いている企業規模

タブレットPOSが向いている企業規模は、個人店舗や店舗数が数店舗から2~30程度の小規模チェーンになります。本記事でZoffの事例を掲載していますが店舗数が100店舗を超えるようなZoff規模の会社への導入はまだまだ難しいのが現実です。もしタブレットPOSで要件を満たせるのであれば、積極的にタブレットPOSを導入することをお勧めします。

8.中規模以上の会社への導入が難しい理由

近年機能が増えたとはいえ、まだまだ中規模以上の会社の要件を満たせる製品は少ないです。ここではなぜ中規模以上の会社には機能が不十分なのか解説します。

8.1.各種マスタが弱い

中規模以上の企業は、商品マスタなど各種属性情報をとても詳しく持っています。商品コードの桁数がとても長い会社も多くあります。タブレットPOSの場合、各種マスタの項目や桁数が少ないため中規模以上の会社では使えない事が多くあります。また、商品登録などバックオフィス機能も一般的に弱く使い勝手が悪いです。

8.2.様々な販売方法に対応できない

同一商品を指定数以上購入された場合に割引する「バンドル販売」、指定した商品のいずれかを指定数以上購入された場合に割引する「ミックス販売」、指定した組合せで商品を購入した場合に割引する「ペアマッチ販売」など小売業では様々な販売方法がありますが、タブレットPOSではこれら様々な販売方法に対応できない製品がまだまだ多いです。

8.3.基幹業務システムとの自動連携ができない

タブレットPOSはカスタマイズができない製品が多く、本部の基幹業務システムと自動連携できない事が多くあります。中規模以上の会社の場合、データ量が膨大なため自動連携できないことは致命的です。

8.4.メーカーによるサポート(ヘルプデスク)が弱い

中規模以上の会社では、店舗からのPOSの使い方やトラブル対応は一般的にPOSメーカーのヘルプデスクに委託します。ヘルプデスクは高度なスキルとナレッジが必要なため、本部で受けるのではなくメーカーのヘルプデスクに委託するのが一番効率的だからです。しかし、タブレットPOSのメーカーは小規模メーカーがほとんどで、中規模以上の企業向けに十分なヘルプデスクを提供できないケースが多くなってます。

9.主なタブレットPOS製品4選

9.1.AirREGI(リクルート)

airregi

リクルートが展開するサービスで、初期費用・月額費用0円でPOSレジを使うことができます。通信料とクレジット決済手数料で課金される仕組みです。会計機能、在庫管理、顧客管理、売上分析、予約管理、クレジット決済など飲食店や個人店舗で必要な機能はほぼすべて揃っているオールインワンサービスです。飲食店におすすめです。

9.2.スマレジ(株式会社PLUGRAM)

月額費用0円~12,000円で使えるPOSサービスで60店舗以上ある「nano universe」にも導入されています。会計機能、在庫管理、顧客管理、多店舗での売上分析、予約管理、クレジット決済、免税機能と多くの機能を持っています。著名度No.1製品だけあって機能がしっかりしてます。

9.3.EC-Orange POS(株式会社エスキュービズム・テクノロジー)

Orange Handy

月額費用9,800円から使えるPOS製品です。一般的なタブレットPOSの機能はほぼすべて持っています。特徴としては、ECサイトとの在庫連動、CRM、店舗受取り、ポイント管理などO2Oやオムニチャネルをやりたい小売店舗向けの機能を持っている点が特徴です。導入店舗数も4,000店以上と実績豊富な製品です。小売店におすすめです。

9.4.Padpos(株式会社ビジコム)

padpos

アパレル向け、薬局向け、スポーツ用品向けなど様々な業界に対応したターミナルPOSやタブレットPOSを扱う「POSメーカー」が提供するタブレットPOSです。月額0円~8,800円で使用できます。POSメーカーが作っているだけあり、かなりしっかりした機能を持っています。タブレットPOS以外も多くの製品を持っているため、POS要件の多い会社はまずは相談してみてもよいでしょう。

10.まとめ

この記事では近年話題のタブレットPOSの概要、事例、費用、導入の注意点、著名な製品などをプロの視点からどこよりも詳しく、そして分かりやすく徹底的に解説してきました。タブレットPOSを自社に活用できそうか判断できるようになったのではないでしょうか。次はPOS製品の選定に進んで下さい。

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