事業を支えるために必須となる会計ソフトも着実にクラウド化してきている現在、選択肢も少しずつ増えてきました。
この記事では、近年注目を集めているクラウド会計ソフトについて特徴や機能、価格や使いやすさなどの観点から主要なクラウド会計ソフトを徹底比較していきます。
この記事を読むことで主要なクラウド会計ソフトの特徴や機能、価格など理解することができます。クラウド会計ソフトを選択する際の判断材料にして下さい。
尚、クラウド会計ソフトに関する基本的な解説は以下の記事で解説しています。基本を確認しておきたい場合は併せて読んで下さい。
【保存版】どこよりも詳しいクラウド会計ソフト徹底解説
Contents
1.クラウド会計ソフト徹底比較
厳選その1:MFクラウド会計
まずはクラウド会計ソフトの先駆者マネーフォワードの「MFクラウド会計」です。「テクノロジーの力で、楽に、簡単に、しかも安く」をコンセプトにしています。
元々は個人向けの家計簿、資産管理サービスを提供している事も有名です。
会計の他に「MFクラウド確定申告」「MFクラウド請求書」「MFクラウド給与」「MFクラウド消込」「MFクラウドマイナンバー」「MFクラウド経費」など様々なサービスを展開しており、基幹業務システム(ERP)を入れるほどではないけど、バックオフィス業務を比較的低コストで効率化したい企業におすすめのサービスです。
特徴
- 部門別会計可能。(MFクラウド確定申告も利用可)
- スマホアプリでレシート撮影、キャッシュフロー分析可能
- 仕訳にファイル添付機能あり
- 別サービスで給与、請求など連携可
- メール、チャット、電話での問合せが可能
- 旧来の会計ソフトに近い操作性(簿記知識など若干必要)
価格
- ライトプラン: 1,980円/月、21,780/年
- ベーシックプラン: 2,980円/月、32,780円/年
おすすめポイント
- 旧来の会計ソフトに近い操作性であり経理部門からの指示が高いソフトです。以前他の会計ソフトを使っていた企業におすすめです。(MFクラウド会計導入時に現場の混乱が少ない)
- 関連サービスが多い(確定申告、請求書、給与、消込、マイナンバー、経費)
厳選その2:クラウド会計ソフトfreee
次にクラウド会計ソフトといえば、freeeでしょう。先述のマネーフォワードと共にクラウド会計ソフトのパイオニアです。
コンセプトとして「本業とは関係のない業務を効率化し、個人事業主や中小企業で働く人々がより創造的な活動にフォーカスできるようにしたい」を掲げています。さらに「バックオフィス最適化」を新コンセプトとして日々アップデートや改善に取り組んでいます。
別サービスとして「給与勤怠管理」「会社設立支援」なども展開しています。MFクラウド同様に、バックオフィス業務を比較的低コストで効率化したい場合には要チェックです。
特徴
- スマホアプリで仕訳可能。レシート撮影、請求書の発行、入金管理。
- 経費精算の申請、承認機能
- 別サービスの給与計算との連携
- 会計知識がない人でも使える操作性
価格
法人プラン: 1,980円/月、19,800円/年
おすすめポイント
- 会計知識がない人でも使える操作性のため、経理担当者がいない企業におすすめの会計ソフトです。ただし、操作性が旧来の会計ソフトと異なるため旧来の会計ソフトを使っていた方からの支持は低いです。
厳選その3:ハイブリット会計Crew
会計事務所のコンサルティングを手がけた会社と会計事務所が手を組んで開発したという、後発のクラウド会計ソフト注目株のCrewです。コンセプトは「会計事務所と経営者をつなぐ」を掲げています。
会計事務所や会計コンサルが開発に関与している事もあり、インターフェースが弥生会計と親和性があり、長くパッケージ版会計ソフトを利用してきた事業者からも多くの支持を得ています。
他社同様にバックオフィス業務を効率化する目的で、別サービスとして「Crew請求書」「Crew給与計算」「Crew明細配信」「Crewマイナンバー管理」なども展開しています。今回の比較で唯一、他サービスとの抱き合わせで割引になるお得なプランを用意しています。
特徴
- 会計事務所のコンサルティングを手がけた会社が開発
- 別サービスの給与、請求と一括契約でお得になるサービスあり
- 他のクラウド会計ソフトと同等の機能
価格
ビジネス法人: 1,980円/月、21,780円/年
おすすめポイント
- 会計事務所や税理士事務所が使いやすいよう設計されているため、契約している会計事務所や税理士事務所にも使ってもらえる可能性が高いです。
クラウド会計ソフトは近年導入企業が増えていますが、旧来の会計ソフトとの操作性の違いなどから多くの会計事務所や税理士事務所で導入を嫌がられるケースが多くあります。
厳選その4:弥生会計オンライン
クラウド化ではfreee、MFクラウドに一歩出遅れてしまいましたが、パッケージ版でのブランド力と信頼性バツグンの弥生株式会社が提供するクラウド会計ソフトです。パッケージ版からの歴史も古く、中小企業の会計担当者で弥生会計を知らない人はいないでしょう。国内No.1のシェアを持っています。
税理士や会計事務所でも指定ソフトになっている事も多くあり、弥生ブランドの強さを見せつけています。
別サービスを見てみると”オンライン”のシリーズはまだ「個人向けの白色/青色申告」と「店舗経営オンライン」のみですが、パッケージ版では販売管理、顧客管理、給与計算などのメジャーラインナップを備えています。
特徴
- 法人向けのサービス。(個人事業は非対応)
- パッケージ版弥生会計を利用の場合も、YAYOI SMART CONNECTという別サービスを通じて、クラウド連携の運用が可能。
- 国内会計ソフトシェアNo.1の弥生株式会社が提供するサービス
- パッケージ版に比べて機能はしぼられており小規模企業向け
価格
- セルフプラン: 28,080円/年
- ベーシックプラン: 32,400円/年
おすすめポイント
- 弥生株式会社が提供していることの信頼感が非常に高いサービスです。ただし、機能的には他のクラウド会計ソフトより若干劣るため数人程度の企業におすすめのサービスです。
厳選その5:奉行i8 for クラウド
勘定奉行など奉行シリーズで有名なオービックが提供するクラウド会計ソフトです。今回の比較では唯一インストールベースでパブリッククラウドサービス(Microsoft AzureやSOFTLAYERなど)の利用がサポートされているタイプです。
歴史もありブランド力も安心感に繋がります。他のクラウド会計ソフトは従業員数人規模の小規模企業向けのサービスですが、奉行i8 for クラウドは中小企業レベルまで耐えられる機能を持っています。
会計ソフト以外にも「人事労務」「販売管理」「財務会計」など各種シリーズ化されています。
特徴
- インストール型でクラウドを利用できるハイブリッド型。
- 主要都市に事業所やパートナー企業があり、ERPを視野に入れたコンサルやサポートを含めて対応している。大掛かりなシステム変更や導入になるようであれば心強い。
- 中小企業でも耐えられる機能性
- 「人事労務」「販売管理」「財務会計」など各種シリーズがある
価格
- 初期費用:980,000円
- サポート費用:147,000円/年
おすすめポイント
他のクラウド会計ソフトに比べて旧来の会計ソフトレベルの機能をもっており従業員数十人以上の中小企業でも耐えられるレベルのサービスです。また、「人事労務」「販売管理」「財務会計」など各種シリーズもあるため、様々な業務にシステムを活用したい中小企業におすすめの製品です。
2.クラウド会計ソフト比較表
ここまで筆者おすすめのクラウド会計ソフトについて特徴や価格、おすすめポイントを解説してきました。この章ではさらに理解が進むよう比較表で解説します。
ソフト名 |
価格 |
対象企業規模 |
別サービス |
|
ライトプラン: |
小規模企業 |
• MFクラウド請求書 |
|
個人事業主プラン: ・980円/月 法人プラン: ・1,980円/月 |
小規模企業 |
• 給与計算freee |
|
ビジネス個人: |
小規模企業 |
• クラウド請求書ソフトCrew |
|
セルフプラン: ベーシックプラン: |
小規模企業 |
• やよいの店舗経営オンライン |
|
初期費用:980,000円 |
中小企業 |
• 財務会計シリーズ |
3.クラウド会計ソフトの選定ポイント
ポイント1:価格
各社価格付けやプランが異なるので単純比較することは難しいですが、多くのクラウド会計ソフトは月額数千円と費用を抑えて使えるサービスがほとんどです。そのため価格より機能や使い勝手で選んだ方が良いでしょう。
ただし、奉行シリーズのように旧来の会計ソフト並みの機能をもったサービスは他のクラウド会計ソフトに比べて費用が大きく異なるので注意が必要です。
ポイント2:機能
クラウド会計ソフトはまだまだ従業員数人レベルの小規模企業向けのサービスがほとんどです。そのため、自社の要件を満たせる機能を持っているか必ず無料お試しを活用して確認しましょう。
会社の規模感が合うのであれば、自動記帳などのクラウド会計ソフトの主な機能は同じように実装されているので、差別化された機能に注目すると良いでしょう。
別途提供のスマホアプリでレシート撮影による入力の簡易化や、経費精算/承認のサポートなど単純な会計ソフトの領域から踏み出した機能を持たせているソフトもあります。提供会社によっては別サービスとして展開している機能が含まれていることもありますので、まずは自社で実現したい機能をリストアップして、検討してみましょう。
ポイント3:使いやすさ
使いやすさの観点も重要です。多くのクラウド会計ソフトは会計知識がない素人向けに作られているため、逆に会計知識がある経理担当者は使いにくい場合が多くあります。必ず無料お試しを活用して使いやすさを確認しましょう。
ポイント4:別サービスとの連携
各ソフトの紹介の中に記述しましたが、会計業務と関連した別サービスにも注目です。給与管理、勤怠管理、クラウドPOSやクレジット決済との連携、見積り請求や経費精算の仕組みなど、自社業務の中で関連するものを一括してクラウド化をすることも検討してみるのも良いでしょう。同一の提供会社のシリーズで統一し効率化エリアを広げていくと、痒いところに手が届くような効果が期待できます。
例えば、給与の支払いは帳簿に記載する際に、税金や雇用保険料などを個別で”預かり金”にしたりする必要がありますが、単純に銀行取引を自動記帳した場合、控除後の支払った金額のみが記帳されてしまいます。会計業務ではきちんと分類して記帳する必要があるために結果として、自動で取り込まれたデータを後から修正したり、入力しなおしたりという手間がかかってしまいます。同一の提供会社で揃えるとこの帳簿処理も自動で連携されます。
見積り請求であれば、連携して売掛金や未収金などの仕分けも自社業務に合わせて自動化されスムーズにできるようになるでしょう。このように、提供会社を揃えて導入することで、細かい部分での手間が省けるようになり、工数削減やコスト削減の期待が持てます。
4.まとめ
この記事ではおすすめのクラウド会計ソフトについて機能や特徴、費用などを解説してきました。各社、値付けや連携サービスなどの付加価値で差別化を図っている為、単純に優劣をつけることは難しいですが、ニーズに合わせて比較検討してみて下さい。
各社随時機能追加や機能改善を行っているため、各製品の情報は日々更新されています。導入検討の際は必ず書く製品ページで詳細をご確認下さい。
次は実際にクラウド会計ソフトの無料お試しを活用し機能や使い勝手が要件に合うか確認しましょう。