【徹底まとめ】ポイントシステム概要と選定・導入のポイント

ポイントシステムは、小売店や飲食店、美容院にスポーツクラブなど、多種多様なサービス業に導入されている顧客管理及びポイント管理システムのことです。ポイントシステムの歴史は古くさまざまな特徴を持ったシステムが誕生しては、次々に新しい製品に入れ替わってきました。

ポイントシステムは、ロイヤリティマーケティングの1つである「ポイントサービス」を支える重要なシステムです。顧客サービスに直結するものですので、事前にしっかりポイントシステムについて学び、そして計画を練ってから導入しなければ失敗に終わるでしょう。

本記事では、ポイントシステムの概要からポイントシステムを導入する際にどのような観点でシステム比較をすべきか導入すればよいのかなど導入する前に知っておくべき情報を詳しく解説します。この記事を読んでポイントシステム導入の際の参考にして下さい。

1.ポイントシステムとは

ポイントシステムとは、ポイントサービスの運用業務である顧客情報やポイントの管理を行い、蓄積した情報を分析して販促活動に活かし、そしてお客様への提供サービスの品質を高めていくというサイクルを強力に支援してくれるシステムです。

最近ではいろいろな機能が付加されていたり、他のシステムと連携していたりと複雑化していますが、次の5つの機能を中心としたシステムと理解すると分かりやすいです。

〈ポイントシステムの機能概要〉

  • 顧客・会員管理機能
  • ポイント発行管理機能(発行/残高管理/参照/移行)
  • 顧客情報と購買記録をもとにした分析機能
  • 販売促進の機能
  • 外部システム連携

〈ポイントシステムの概要図〉

ポイントシステム概要

参考:東芝 Point Artist

2.ポイントシステムの主な機能

ここでは、ポイントシステムの主な機能について解説します。ポイントシステムの機能を知ることで業務でどのように活用できるかイメージできるようになります。機能についてもしっかり理解を深めて下さい。

2.1.顧客管理機能

ポイントサービスの利用者の個人情報を取り扱う重要な機能です。登録した情報は分析や販促に利用しますの、登録できる顧客情報の項目が十分要件を満たしているか、登録できる会員数の上限や費用条件などを導入前に確認しておきましょう。また、お客様がポイントカードを無くされた際に、本人確認が必要となりますので、顧客情報の検索機能や検索速度も確認しておくと良いでしょう。

顧客情報管理機能(登録・更新・削除)

実店舗やECサイト利用者の個人情報を一元管理する機能

検索機能

様々な検索条件で顧客を検索する機能

統合機能

紛失したカードの情報を新しいカードに移行したり、既存の会員情報を新たに発行したポイントカードと紐付ける機能

コメントやメモの入力(カルテ)

基本情報以外に、スタッフが接客を通して得た情報などをコメント入力する機能

2.2.ポイント発行管理機能

お客様に付与するポイント発行業務を支援する機能です。発行したポイント数の加減算管理だけではなく、期限切れのポイントの自動償却や、お店のイベントや天候変化に合わせてポイントを2倍にするなど販促活動を支援する機能もあります。

また、お客様の回転率が高いお店の場合は、処理の速度が高いものを選ぶ必要があり、自社のポイントサービスの運用イメージをきちんと持って機能比較する必要があります。

ポイント管理

ポイントの加算・減算や仮ポイントの発行、有効期限、残高などを管理する機能

ポイント付与率変更

期間別や店舗別、顧客ランク別など様々なルールに応じてポイント付与率を設定・変更する機能

ボーナスポイント発行

来店、雨の日、お誕生日などイベントに応じてポイントを発行する機能

ポイント返品処理

返品返金があった際に付与したポイントの返品戻しなどを行う機能

ポイント通帳管理

各個人のポイントの利用履歴を管理する機能

キャンペーンポイント管理機能

店舗や期間、商品ごとのポイントを管理する機能

2.3.分析機能

分析機能は、ポイントシステムの中で軽視されがちな機能ではありますが、顧客満足度を向上にもっとも重要な機能です。
顧客満足度を上げるためには、来店されるお客様の好みや思考を知る必要があります。日々の販売実績をもとにして、精度の高いシミュレーションを行うための分析データが抽出できる製品を選択したいところです。

しかし、お店に分析した結果をうまく有効活用できるスタッフがいないと導入コストが無駄になるため、マーケティング担当の方が扱いやすい機能であることも考慮しましょう。
導入に際して、ポイントサービス運用のコンサルティングや教育を行ってくれるサービスもありますので、確認しておくことをお勧めいたします。

基本集計

性別・年齢層別、購入人数別、商品カテゴリー別など「売上金額」に影響している要因を集計する機能。

来客クロス集計

性別・年齢層別、購入人数別、商品カテゴリー別など、指標ごとの「相関関係」を「購入人数」に焦点をあてて分析する機能

売上クロス集計

性別・年齢層別、購入人数別、商品カテゴリー別など、指標ごとの「相関関係」を「売上金額」に焦点をあてて分析する機能

RFM優良顧客分析

R(直近来店日)F(来店回数)M(購入金額)の指標値をもとに、顧客のロイヤリティ・離反傾向を分析する機能

デシル分析

集計する購買期間内に購買したお客様を購買金額が高い順から10等分にし、その構成比を分析する機能

ポイント集計

ポイントの利用動向を店舗別、性別・年齢別に集計する機能

キャンペーン効果分析

各キャンペーンの売上効果を時系列で分析する機能

2.4.販売促進機能

近年のポイントシステムは、顧客情報と分析情報をもとにお客様に商品情報や店舗情報などを直接配信するダイレクトマーケティング機能が備わっているものが多く出ています。お客様に合わせて配信情報を変更したり、誕生日や来店回数に応じて特別特典を付与したりと、他店との差別化を行うためにも重要な機能です。

販売促進機能は製品によってはオプションとして設定されていて、別料金や他のシステムとの連携が必要であったりするケースがありますので、選定の際メーカーに確認してみましょう。

メルマガ配信機能

通常の定期的な店舗・商品情報の配信以外に、顧客動向に合わせてサンキューメールや誕生日メールなどを配信する機能

マイページ機能

お客様自身が保有しているポイントを確認するための機能。ポイント確認以外に同画面上で店舗・商品情報の配信などを行うことができる製品もあります。

プッシュ通知

インストールしてもらったアプリを通して、お客様に情報配信を行う機能。個人情報(住所・電話番号・メールアドレス)を取得できないお客様であっても、この機能を使うことでお客様にアプローチすることができます。

自動クーポン発行

来店後(ポイント付与後)や来店から指定日数後などに自動的にクーポンを発行・送信する機能

2.5.外部システム連携

中規模企業から大企業向けになると、すでに他の管理・運用システムが稼働している場合が多く、その中にポイントシステムを導入することになるケースが少なくありません。そのため、他の既存システムとのデータ連携できるよう連携機能を用意しているシステムがほとんどです。

連携方法はファイル出力やAPIでの連携など様々ですので、データ送信頻度や容量などを見積もり対応できる製品を選択するようにしましょう。一般的に以下のようなシステムと連携するケースが多いです。

  • POSシステムとの連携
  • CRMシステムとの連携
  • 販売管理システムとの連携
  • 他ポイントサービスとのポイント交換などの連携
  • DMPシステムとの連携

3.ポイントシステム選定の3つのポイント

3.1.自社の要件を満たす機能を持っているか

当たり前のことなのであえて言うまでもないかもしれませんが、活用シーンに応じて求められる機能が異なってきます。製品によりどの機能が強いのか特徴がありますので選定の際しっかり要件を伝えて実現できるか確認しましょう。特に以下は重要なポイントです。

販促機能は強いか?

クーポンやメルマガの配信は現在も効果的な販促ツールです。特に女性はクーポンが配信されると来店や購買する確率がぐんと上がります。同時に配信できる数や、ターゲットを絞って配信できるかなど確認すると良いでしょう。

顧客情報管理機能は強いか?

エステやマッサージ、整体などのサービス業の場合、顧客の基本情報だけでなく体の状態や課題、過去の施術内容などの蓄積が必要になります。
また、個各情報を何件まで管理できるのかもとても重要なポイントです。自社の顧客数に耐えれるシステムなのか必ず確認しましょう。

3.2.どの業界向けのポイントシステムか?

ポイントシステムは飲食業向けや小売業向けなど業界特化型の製品もあります。業界特化型は、その業界独自の要件を満たしている製品が多いのでまずは業界特化型製品を見てみると良いでしょう。
逆に、小売業なのに飲食業向けを導入してしまうと後々問題が出る可能性があります。「飲食業向け」といっている製品でも問合せるとメーカーは他の業界でも使えると言いますので注意して下さい。

3.3.自社と同じ業種への導入実績は豊富か?

選定の際、自社と同じ業種への導入実績を必ず確認して下さい。同じ業種・業態でかつ同じ位の規模の会社への導入実績があれば大きな失敗になるリスクは低くなります。逆に、メーカーの営業がうまくても導入実績が少なければ後々問題が出る可能性がありますので注意して下さい。
営業マンは導入前は良いことばかり言っていたのにいざ導入してみると全然違う、その後のサポートもあまりしてくれないというIT企業はざらにあります。

4.主なポイントシステム製品

ポイントシステムは数多くの製品が存在しており、製品により提供方法や特徴が異なります。
ここでは主なポイントシステムの製品を紹介します。選定の参考にして下さい。

製品名/販売会社

対象規模

初期費用

月額費用

製品タイプ

POINT QUIC
(ポイント株式会社)

個人店舗

0 円

0円

(カード費用のみ)

クラウド

cardfeel
(コンポーネントデザイン株式会社)

個人店舗~中規模

0 円

0~5,400円

クラウド

Zeetle
(株式会社フューチャークリエイト)

個人店舗~中規模

100,000 円

50,000円

クラウド

CROSS POINT
(株式会社 アイル)

中規模向け

3,000円/店

30,000円~

クラウド

ポイント管理システム
(株式会社クレアンスメアード)

中規模~大規模

要見積

要見積

クラウド
オンプレミス

PointInfinity
(日立ソリューションズ)

大規模

要見積

要見積

クラウド
オンプレミス

PointArtist
(東芝)

大規模

要見積

要見積

クラウド
オンプレミス

ValueFront ポイントサービス
(富士通エフ・アイ・ピー)

大規模

要見積

要見積

クラウド

5.ポイントシステムの導入の流れ

ポイントシステムの導入に必要な期間は最低3ヶ月~5ヶ月程度になります。要件に応じてもっと期間が必要になるケースもあります。ここではポイントシステム導入のポイントについて詳しく解説します。この章を読んで自社でどのようにポイントシステムを導入すべきか検討の材料にして下さい。

5.1.要件定義

実現したいことや課題など要件を整理し定義します。事前に以下について整理しておくと導入がスムーズに行きます。初めて導入する際はここまで知識がないケースも多いので「何のために」「なぜ」ポイントシステムを入れるのか、「ポイントシステムを通してお客様に何を提供したいのか」を最低限整理しておきましょう。
導入実績豊富なポイントシステムメーカーであれば以下の整理を一緒に行ってくれるメーカーもあります。

〈要件定義のポイント〉

  • サービス設計方針の策定
  • 会員体系の設計
  • サービス基本ルールの設計
  • ポイント付与の基本内容設計
  • ポイント利用(交換)の基本内容設計 など

5.2.システム選定・契約

自社の要件を整理を整理したら次は提案依頼書(RFP)を書いて導入を検討しているメーカーに提案を依頼しましょう。一般的に3~5社程度に提案をもらいその中から要件に合うシステムを選びます。要件に合うシステムがなければ交渉するか他製品から選びましょう。

5.3.運用設計

システムが決まったら次はメーカーと共にどのようにポイントシステムを運用するのか運用設計を行います。基本的にメーカー側で設計ポイントを抑えているため、初めての導入であっても大きな問題はないでしょう。
オンプレミス型で導入する場合は機能カスタマイズがステップに入ることもあります。ここでは割愛します。

5.4.データ移行およびシステム間連携の構築

既に顧客情報やポイント情報を管理している場合データ移行が必要になります。基本的にデータの移行はメーカー側で行ってもらえるケースがほとんどですが、規模に応じて別途費用が発生します。
また、POSシステムや販売管理システム、顧客管理システム(CRM)などと連携させる場合はシステム間連携の構築が必要になります。こちらも多くは別途費用が発生しますのでメーカーに見積りをもらいましょう。

5.5.オペレーション指導

ポイントサービスを運用するための準備を整えていきます。店舗スタッフの教育や本部の運営スタッフの教育などしっかり行いましょう。特に店舗スタッフの教育が不十分だとお客様に迷惑をかけることになりますのでしっかり行って下さい。

5.6.運用開始

実際の運用を開始します。運用開始後も問合せ窓口を通して様々なフォローをしてくれるメーカーがほとんどですので安心して下さい。

6.まとめ

この記事では、ポイントシステムの概要や機能、選定のポイントや導入の流れなどポイントシステムを導入する前に知っておくべき情報について詳しく解説してきました。ポイントシステム全体の理解がだいぶ進んだのではないでしょうか。
次は自社の要件を整理してポイントシステムの選定に進みましょう。

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