【徹底比較】アパレル向け販売管理・在庫管理システム4製品

この記事では、アパレル向け販売管理・在庫管理ソフト4製品の品番・バーコード発番仕様や原価計算仕様、機能概要およびサービスレベルを比較し、それぞれの製品の特徴やおすすめポイントを徹底解説します。選定の際の参考にして下さい。

1.比較の概要・前提条件

比較対象の製品
本記事では、アパレル向け販売管理・在庫管理ソフトの中から、導入実績も多く著名な以下の4製品を対象に機能およびサービスレベルを比較、解説します。

〈比較対象製品〉
経営改革AP+(株式会社アベイル)
Retail Focus-Navi(大興電子通信株式会社)
relacion(株式会社ドリームゲート)
Creative Vision.net(株式会社DTP)

※ドリームゲート社のHPでは大きく掲載されていませんが、「現場主義」を土台にしてアパレル向けに特化して開発された製品「relacion」を展開されています。

機能比較について
機能の比較は標準機能(カスタマイズなしで搭載されている機能)での比較になります。
どの製品もカスタマイズ可能であり、カスタマイズすればアパレル企業のほぼすべての要件に対応可能です。

各製品の価格について
価格についてはどの製品も非公開になりますので比較していません。
どの製品も大きな価格差はありません。

対象企業規模について
どの製品も対象企業規模を指定しているわけではありません。
弊社の経験をもとにした主観的なものになります。

2.アパレル向け販売管理・在庫管理システム4製品比較表

2.1.品番・バーコード発番仕様比較表

標準仕様での品番およびバーコードの発番仕様は以下になります。

アパレル向け販売管理ソフト_発番仕様比較表

2.2.原価計算仕様比較表

標準仕様での原価計算仕様は以下になります。

アパレル向け販売管理ソフト_原価計算方法比較表

2.3.機能別比較表

標準機能での機能比較は以下になります。

予算管理~仕入

アパレル向け販売管理ソフト_機能比較表①

配分~分析

アパレル向け販売管理ソフト_機能比較表②

2.4.サービスレベル別比較表

アパレル向け販売管理ソフト_サービスレベル比較表

3.アパレル向け販売管理・在庫管理システム4製品徹底解説

この章では、比較した製品について詳しく解説します。どの製品も大手IT企業と提携して販売・運用されるケースが多いため、メーカー企業規模の考慮はです。(直販のケースもあります)機能・価格・サポート体制中心に選ぶと良いでしょう。
また、どの製品もアパレル(衣服)だけでなく「靴」や「小物」などファッション全般に導入実績があります。ファッションアイテムを取り扱う小売企業も活用できる製品です。

3.1.経営改革AP+(株式会社アベイル)

経営改革AP+

概要

株式会社アベイルが提供する製品です。株式会社アベイルは30年近くアパレル向けの基幹系に特化して製品提供しています。経営者自身がアパレル出身であり、提供される製品はMD計画、生産管理、販売管理・在庫管理、売上分析など、どの機能群も多機能かつ高機能であることが特徴的です。対応する業務範囲が広いため、まずは販売管理・在庫管理のみ導入して後々生産管理やMD計画までシステム化することも可能です。

おすすめポイント

  • アパレルのほぼすべての業務工程を網羅する製品群
  • 多機能かつ高機能
  • アパレルの導入実績700社という業界随一の導入実績

対象企業規模

  • 店舗数30店舗~数百店舗規模の企業
    カスタマイズすれば売上高100億円以上の企業でも十分使える印象です。

注意点

  • 多機能かつ高機能のため、店舗数が30店舗未満の規模の企業には多機能すぎる
  • 多機能で画面項目も多いため、ユーザートレーニングを厚くする必要がある

3.2.Retail Focus-Navi(大興電子通信株式会社)

Retail Focus Navi

概要

富士通系列の大興電子通信株式会社が提供するアパレル向け製品です。製品名はアパレル向けMDシステムとなっていますが、販売管理や在庫管理機能も備えており基幹システムとしても導入することができます。

富士通系列のため、富士通のデータセンターやPOS製品、ヘルプデスクなど必要なもの全てを大興電子通信1社から調達することができます。合わせて調達することによるコストメリットも大きいです。

おすすめポイント

  • 富士通系列のため、販売管理システム以外(POSやデータセンター、ヘルプデスク、IT機器)などまとめて調達できる。
  • 富士通系列という信頼性。
  • MD向けの機能が豊富。
  • 店頭フェイス(VMD)機能を持っている。(他製品にはない)

対象企業規模

  • 店舗数10店舗~100店舗程度の企業

注意点

  • Excelインポート機能が弱くExcelを多用したいアパレル企業には物足りない
  • 本記事で比較している他製品に比べて分析機能が弱い

3.3.relacion(株式会社ドリームゲート)

relacion

概要

株式会社ドリームゲートが提供するアパレルに特化した販売管理システムです。「現場主義」のメーカーである株式会社松山電子計算センターからアパレル専門に特化して独立した会社です。
新しい製品ですが、実績の高い「現場主義」が土台になっているため販売管理機能も充実しています。生産管理以外の業務機能も豊富なため、生産管理が不要なアパレル企業はrelacionのみでほぼすべての業務を行うことができます。 

おすすめポイント

  • 予算管理、MD計画、販売管理・購買管理・在庫管理機能、分析機能と揃っておりrelacionのみでほぼすべての業務が可能
  • ダッシュボード機能(ログイン後のトップページ)で日次売上や集計結果が確認できる
  • 予算管理、MD計画、分析機能が強い
  • DBが公開されており、ユーザー企業側で様々なデータ抽出が可能
  • 新機能の開発、提供が早い。開発に積極的

対象企業規模

  • 店舗数10店舗~100店舗程度の企業

注意点

  • 新しい製品のため販売実績は他製品に比べて高くない。(但し、実績の高い現場主義が土台のため信頼は高い)
  • DB公開されているが、自社で独自抽出するにはSE知識が必須。

3.4.Creative Vision.net(株式会社DTP)

creative vision.net

概要

株式会社DTPが提供するアパレルに特化した販売管理・在庫管理システムです。導入実績240社以上と高い導入実績をもつ製品です。

おすすめポイント

  • 予算管理機能が強い
  • データ抽出機能が強い(自社で抽出条件のカスタマイズが可能)
  •  抽出したデータをExcelにエクスポートすることも可能
  • 基幹機能(販売管理・購買管理・在庫管理)に機能が絞り込まれており基幹機能のみ欲しい企業にマッチ

対象企業規模

  • 店舗数30店舗~数百店舗規模の企業

注意点

  • MD計画機能はない。ただし、他製品(経営改革AP+など)のMD機能との連携実績あり

4.要件別おすすめ製品

4.1.予算管理とMD計画までシステム化したいなら「RetailFocus-Navi」か「relacion」

RetailFocus-Navi

全社予算、事業部予算、アイテム予算など予算を細かく管理可能です。予算管理機能・MD計画とどちらも揃っているため、予算とMD計画を連動させて管理したい企業のニーズにとてもマッチしています。また、店頭フェイス(VMD)機能も搭載されており、他製品に比べてMD向けの機能に強みがあります。操作性も良く扱いやすい製品です。

relacion

relacionは予算管理機能とMD計画機能両方を備えた数少ない製品です。売上分析機能にも力を入れているため、PDCAサイクルで業務を回したい企業におすすめの製品です。操作性も良く扱いやすい製品です。

4.2.分析機能重視なら「Creative Vision.net」か「relacion」

Creative Vision.net

Creative Visionは、標準で様々な分析機能を搭載していますが、最大の強みは簡易的なBI機能を持っていることです。そのため、ユーザー自身で集計したい項目を選んでデータ抽出することが可能です。抽出した様々なデータをCSV出力することもできるため、データを2次加工したい企業のニーズにマッチする製品です。

relacion

relacionも標準で様々な分析機能を搭載していますが、「データベース公開」という他製品にない大きな強みを持っています。データベースが公開されているため、SEがいる企業では標準機能では満たせない自社独自のニーズに対して、必要なデータを必要な形で抽出したり、自社でBIツールとインターフェースを組んだりできる点が強みです。

4.3.店舗数100店舗以上をめざす企業・100店舗以上の企業なら「経営改革AP+」一択

経営改革AP+

経営改革AP+の強みは、何と言っても多機能・高機能な点です。ここまで作りこまれている製品は他にないと言っても過言ではありません。標準でも多くの機能を搭載していますが、自社要件に合わせてカスタマイズすれば売上高100億円を超える大企業の多用なニーズも十分満たせる製品です。

4.4.Excelでのデータ取込みを多用したいなら「relacion」か「Creative Vision.net」

「relacion」と「Creative Vision.net」はどちらもExcelからのデータインポート機能に優れた製品です。アパレル企業はシステムが苦手な人が多い業界であり、どの企業でもExcelを多用して業務を行っています。どちらの製品も標準では取込みフォーマットは決まっていますが、カスタマイズも可能です。Excelからのデータインポートを多用したい企業におすすめの製品です。

relacion
Creative Vision.net

4.5.販売管理・購買管理・在庫管理機能のみ欲しいなら「Creative Vision.net」

予算管理やMD計画機能は一切不要。販売管理・購買管理・在庫管理機能のみ欲しいならCreative Vision.netがおすすめです。販売管理・購買管理・在庫管理に機能が絞られた製品です。無駄な機能は不要という企業にマッチした製品です。

Creative Vision.net

5.近年のアパレル向け販売管理・在庫管理システムのトレンド

近年のアパレル向けの販売管理・在庫管理システムは、「予算管理」や「MD計画」「売上分析」まで販売管理・在庫管理の領域を超えて機能提供している製品が増えています。

アパレル企業のMD計画や売上分析は企業によって方法が大きく異なります。多くの場合Excelを加工・駆使して複雑な業務を行うため、システム化が難しいと言われていた領域です。しかし、システム化が進まないことで効率が非常に悪い業務領域でもありました。近年、その需要を満たすために機能開発された製品が増えてきています。

アパレル企業側も、複雑な業務だからと効率化・システム化をあきらめる時代でもなくなってきています。売上100億を超えるような企業はまだまだシステム化が難しい現実がありますが、売上高数億~数十億規模のアパレル企業は、積極的に予算管理やMD計画、売上分析機能を搭載している製品を活用して効率化を図って下さい。

6.まとめ

この記事ではアパレル向けの販売管理・在庫管理システムの中から著名で導入実績の多い4製品を比較、おすすめポイントなどを解説してきました。どの製品もアパレルのニーズを満たすために作られた良い製品です。同じアパレル向け製品ですが、細かい機能や操作性、ビジュアルなどが異なります。自社の要件をまとめた上でまずはメーカーに連絡をとり製品デモを依頼しましょう。