近年、とても多くのグループウェア製品が登場し、グループウェアを導入したい企業はどの製品を選べば良いのか非常に分かりづらくなっています。
そこでこの記事では、数あるグループウェアの中からクラウド型・オンプレミス型別にシェアの高い上位5製品に絞って、機能別、サービスレベル別に徹底的に比較します。この記事を読んで自社に最適なグループウェアを導入して下さい。
Contents
1.タイプ別グループウェアのシェア
富士キメラ総研の調査によると、シェアは上図のようになっています。自身でシェア1位を語っているメーカーがいくつもありますが、こちらは第三者による調査結果のため信頼できるデータと見て良いでしょう。
〈クラウド型のシェア〉
1位:Office365(日本マイクロソフト)
2位:Google Apps(Google)
3位:IBM SmartCloud Notes(日本IBM)
4位:サイボウズOffice(サイボウズ)
5位:desknets Neo(ネオジャパン)
〈オンプレミス型のシェア〉
1位:IBM Notes(日本IBM)
2位:Exchange Server(日本マイクロソフト)
3位:サイボウズガルーン(サイボウズ)
4位:desknets NEO(ネオジャパン)
5位:StarOffice(NEC)
トップ5製品でシェアの約75%を独占
グループウェアは非常に多くの製品がありますが、そのシェアのほとんどをトップ5製品が占めています。グループウェアを導入する際は、シェアを占める製品の中から選んでまったく問題ありません。
約75%がクラウド型を採用
以前はオンプレ型のグループウェアが主流でしたが、近年はクラウド型が主流になっており約75%がクラウド型を採用しています。オンプレミス型・クラウド型どちらもメリットデメリットがあります。
クラウド型とオンプレミス型それぞれのメリットやデメリット、向いている企業は以下の記事で詳しく解説しています。クラウド型とオンプレミス型どちらを選ぶか決まっていない企業は先に以下の記事を読んでどちらのタイプを選ぶか決めましょう。
2.クラウド型グループウェア徹底比較
この章では、クラウド型グループウェアを機能別、サービスレベル別に徹底比較します。比較した上でのおすすめグループウェアは次の章で詳しく解説します。
2.1.機能別比較表
※1 メールアドレスの取得は別料金。メールアドレスも取得した場合、1アカウントあたり700円/月~
※2 メールアドレスの取得は別料金。メールアドレスも取得した場合、1アカウントあたり600円/月~
2.2.サービスレベル別比較表
3.おすすめのクラウド型グループウェア
ここまでクラウド型のグループウェアを機能・サービスレベル別に比較してきました。
操作性の違いはありますが、備えている機能に大きな違いはありません。一方でサービスレベル的にはシェアトップ3製品はメール容量とストレージ容量がとても豊富なサービスとなっています。
また、クラウド型のグループウェアに共通していることですが、グループウェアの主な機能であるコミュニケーションやクラウドストレージ以外のワークフローや社内ポータル、出退勤などの周辺機能は機能が弱く、要件の多い大企業には向かないでしょう。
要件の多い企業は、この部分は一般的専用のシステムを使っています。次は、比較結果をもとにおすすめのグループウェアを解説します。
3.1.基本はOffice365一択!Office製品込みでコストメリットが高く隙がない
概要
Office365はマイクロソフトが提供するグループウェアで日本だけでなく世界でもシェアNo.1のグループウェアです。他のグループウェアと比べてやや月額が高くなっていますが、月額費用内にExcelやWord、PowerPointなどOffice製品の利用料も含まれておりコストメリットが非常に大きいです。もちろんユーザー端末へのインストール制御もできます。
また、ストレージ容量の大きさも他サービスと一線を画しています。これを期に社内サーバーを廃止してOffice365のクラウドストレージに移行しても良いでしょう。ただし、まだネットワーク費用が高いのでデータ通信量が多い大企業はまだまだ費用的にクラウドストレージ一本にすることは難しいかもしれません。
Google Appsも類似した良いサービスを展開していますが、ExcelなどOffice製品は別途調達が必要になるため、ライセンス管理やインストール制御などの工数を考えるとOffice製品の人気が高い日本ではOffice365がおすすめです。
〈概要図〉
おすすめポイント
- 月額費用内にOffice製品が含まれておりコストメリットが非常に大きい
- 常に最新のOffice製品を使える。Office製品バージョンアップ費用が不要。
- Office製品の端末へのインストール制御が可能
- ストレージ容量がグループウェアの中で一番多い
- メールアドレス費用も含まれている
- 1アカウント5デバイスまでインストール可能
注意点
- カスタマイズ不可
- 機能追加や変更・削除が勝手に行われる
向いている企業
- すべての規模の企業に向いています。
3.2.独自機能の追加などカスタマイズするならサイボウズOffice!
概要
サイボウズが提供する国産のクラウド型グループウェアです。強みは何と言っても自社要件に合わせた独自カスタムアプリをグループウェア上に追加できることです。
本章の冒頭でも述べましたが、多くのグループウェアはワークフローや出退勤怠管理など様々な機能を持っていますが、専用システムに比べて機能が弱く、従業員が300人を超えるような企業では使えない可能性が高くなります。そのため、多くの企業は別途ワークフローシステムを入れたりしています。
サイボウズOfficeは、自社要件に合わせて独自カスタムアプリの追加が可能であり、痒いところに手が届くグループウェアです。ワークフローなど別システムを入れたくない企業はサイボウズOfficeを選ぶと良いでしょう。ただし、カスタムアプリを追加すると1アカウントの月額費用が800円に値上がりします。メールアドレスも追加すると1アカウント1,000円となりそこそこ費用が掛かるので注意して下さい。
おすすめポイント
- 独自カスタムアプリの追加が可能
- カスタマー対応が丁寧
- 日本企業のビジネスニーズの反映が早い
注意点
- メールとストレージ容量がとても少ない。(容量追加は別途費用が必要)
- カスタムアプリの追加が可能だが何でもできるわけではない。(カスタマイズ制限あり)
向いている企業
- Office製品は既に持っておりグループウェアのみ導入したい企業
- カスタムアプリの追加をしたい企業
- 従業員300名以下の中小企業
3.3.グループウェアのみを1円でも安く導入するならdesknet’s NEO!
概要
desknets NEOのメリットは、「価格の安さ」と「25のアプリケーションを使える」ことです。Office製品はパッケージ版で既に購入しており、費用を抑えてグループウェアのみを導入したい会社に向いています。
メールアドレスを取得しても1アカウントあたり月額600円で使え、他製品に比べてコストメリットが大きいです。また、25ものアプリケーションを搭載しており、痒いところにも手が届く良いグループウェアです。
おすすめポイント
- 価格が安い
- 25ものアプリケーションを搭載している
注意点
- カスタマイズ不可
- メールとストレージ容量がとても少ない。(容量追加は別途費用が必要)
向いている企業
- Office製品は既に持っておりグループウェアのみ導入したい企業
- 多くの機能を使いたい企業
- 従業員300名以下の中小企業
4.オンプレミス型グループウェア徹底比較
この章では、オンプレミス型のグループウェアを機能別、サービスレベル別に徹底比較します。比較した上でのおすすめグループウェアは次の章で詳しく解説します。
約75%をクラウド型のグループウェアが占めていますが、様々な制御やカスタマイズができるオンプレミス型は、大企業を中心にまだまだ広く活用されています。ライセンス費用・保守費用と別にサーバーの購入費用が必要です。サーバー費用は購入するスペックやメーカーによって異なるためこの記事では割愛します。
4.1.機能別比較表
4.2.サービスレベル別比較表
※1 導入はマイクロソフトとパートナー契約を結んでいるサードパーティITベンダが行います。
価格はITベンダによって異なります。
※2 同時購入するアカウント数によってライセンス価格が変動します。
※3 同時購入するアカウント数によってライセンス価格と保守費用が変動します。
※4 最低購入数は50アカウント~になります。
同時購入するアカウント数によってライセンス価格と保守費用が変動します。
※5 有料で24h365日対応に変更することが可能です。
5.おすすめのオンプレミス型グループウェア
ここまでオンプレミス型のグループウェアを機能・サービスレベル別に比較してきました。
オンプレミス型は柔軟にカスタマイズ可能なため、標準で機能がついてなくても多くの製品で機能追加することが可能です。そのため、要件が多くクラウド型では満たせない大企業を中心に導入されています。
基本的にオンプレミス型は従業員1,000人以上の大企業がカスタマイズして使うものと考えて良いでしょう。カスタマイズ不要ならクラウド型を選んで下さい。
オンプレミス版はExchange Serverかサイボウズガルーンの2択!
オンプレミス版を導入する場合、おすすめはExchange Serverかサイボウズガルーンの2択です。シェア1位はIBMのNotesですが、ユーザビリティが悪くユーザーからの評価がとても悪い製品です。「Notes 使いにくい」という検索で多くの評価が出てきますのでご参照下さい。
IBMのNotesが評価されている点は、アプリケーションを開発するためのツールが搭載されており、拡張性が非常に高いことです。Notesがあれば自社で機能拡張していくことが可能となるため、たいていの機能要件は満たせます。そのため、IT部門の評価が高く多くの企業に導入されています。(筆者も以前使っていました)
自社で拡張可能なため中長期的なコストメリットはありますが、筆者としては「ユーザーが使いづらければ意味がない」のでおすすめしていません。
5.1.世界標準の効率化!オフィス全体を効率化したいならExchange Server一択!
概要
Exchange Serverはマイクロソフトが提供するオンプレミス型のメールとスケジュール機能を提供するグループウェアです。マイクロソフトでは、以下のように機能別に製品が分かれています。そのため、Exchange Serverを中心に必要な製品を組合せてグループウェアを構築します。
コミュニケーション面でも、Skype for Business(旧Lync)があるため他のグループウェアが弱い外線・内線・WEB会議含めて効率化することができます。
〈各種製品〉
- Exchange Server:メール、スケジュール管理、タスク管理など
- Skype for Business:外線、内線、WEB会議、チャットなど
- SharePoint:ドキュメント管理・共有、社内ポータルなど
- Active Directory:社内共有サーバーの管理・アクセス制御など
- Yammer:企業用SNS
マイクロソフトは、企業のオフィス業務を効率化するためのサービスを常に世界の第一線から提供しています。品川の日本本社では、マイクロソフトの製品を活用したオフィス業務の効率化例をいつでも見学することができます。(要予約)
一度見学してみると、世界標準の効率化されたオフィスがどのようなものか理解することができます。日本の効率化はまだまだだと気づくでしょう。
おすすめポイント
- 世界標準の効率化されたオフィスを構築することができる
- 要件に合わせて様々なマイクロソフト製品を組合せてグループウェアを構築できる。
(もちろんカスタマイズも可) - Microsoft Dynamics ERPなどグループウェア以外の製品との親和性
注意点
- マイクロソフトは直販売していません。マイクロソフトとパートナー契約を結んでいるサードパーティITベンダによる導入になります。ITベンダによって価格が異なります。
- サイボウズガルーンに比べて価格高い(最低1,000万以上は必要)。上記製品全てを入れるには数千万必要。
- 設定変更などの際にSE知識が必要(保守契約でITベンダに依頼することも可能)
向いている企業
- 従業員1,000人以上の大企業
- システム部がある企業
- 全社をあげてオフィス効率化を推進できる企業
5.2.とにかく費用を抑えてカスタムグループウェアを構築したいならサイボウズガルーン!
概要
サイボウズガルーンは、サイボウズが提供する国産の大企業向けグループウェアです。KDDIや日立製作所、星野リゾートなど大企業を中心に数多く導入されています。
サイボウズガルーンの特徴は、何と言っても「サイボウズ デヂエ」を活用して自社要件に合わせたオリジナルアプリケーションを自社で簡単に開発・追加できることです。サイボウズ デヂエには様々な部品が既に用意されているため、いちいち一からアプリケーションを作る必要がなく、費用を抑えて迅速に開発することができます。
とにかく費用を抑えてカスタマイズされたグループウェアを構築したいなら「サイボウズガルーン」一択です。descnets Neo(オンプレミス版)も良い製品ですが、サイボウズ デヂエのような開発機能がないため、カスタマイズするならやはりサイボウズガルーンがおすすめです。
おすすめポイント
- サイボウズ デヂエを使った柔軟で迅速なカスタマイズ
- 外国製のグループウェアに比べて費用が安い
- カスタマーサポートが丁寧
- ワークフローが強い
注意点
- 自社で柔軟にカスタマイズ可能だが何でもできるわけではない(カスタマイズ制限あり)
- ファイル管理を社内共用サーバーで行う場合、結局マイクロソフトのActive Directoryが別途必要
向いている企業
- 従業員1,000人以上の大企業
- コストを抑えてカスタマイズしたグループウェアを導入した企業
- 自社で柔軟に機能追加などカスタマイズしながら使っていきたい企業
6.まとめ
この記事では、数あるグループウェアの中からクラウド型・オンプレミス型別にシェアの高い上位5製品に絞って、機能別、サービスレベル別に徹底的に比較し、おすすめのグループウェアを詳しく解説してきました。
グループウェアは多くの製品がありますが、多くの企業の評価が終わりシェアはほぼ確定しました。シェア上位のグループウェアはどの製品も良くできていますが、製品ごとにメリットやデメリット、向いている企業があります。次は、メーカーに問合せて実際の選定に進んで下さい。