【IT部門が教える】今さら聞けないSFA・CRMの違いと選び方

近年当たり前になってきたCRMとSFAですが、これらの違いが良く分からない方も多いのではないでしょうか。CRMとSFAは異なる考え方から生まれた別々の製品です。自社の課題や目的を達成するために適切な製品はどちらなのか見極めなくてはなりません。

この記事では、CRMとSFAの違いをどこよりも分かりやすく解説します。この記事を読めば、自社に導入すべきシステムは「CRM」なのか、「SFA」なのか判断する事ができるようになります。

1.SFAとCRMの違い

まず初めに、SFAとCRMの違いを詳しく解説します。

1.1.SFAの概要

SFAとは、営業チーム全体で営業のプロセスや進捗状況、ナレッジを共有・管理し営業活動全体を効率化するための手法です。

SFAは、インターネット環境が世に普及しはじめた1990年代中頃にアメリカで誕生しました。それ以前は、事務所や工場といった現場では効率化が進んでいたものの、営業現場での効率化は遅れていました。営業現場の効率化をITを使って実現しようとして生まれたのがSFAです。

SFAはその後、日本にも持ち込まれ多くの営業現場で活用されています

1.2.CRMの概要

CRMとは顧客との関係を管理するマネージメント手法のことです。CRMは、英語の「Customer Relationship Management」の略語であり、顧客との関係を構築・管理し、顧客満足度を向上させることでビジネスを成功に導くことを目的とする取り組みのことです。

このCRMも同じくアメリカで、1990年代前半に登場しました。大手ITコンサルファームなどから経営手法として提唱されたことで広く普及するようになりました。
下記書籍はCRMが広く普及するきっかけとなった本の一冊です。

CRM 顧客はそこにいる

日本にも持ち込まれたこの概念は、SFAが営業現場で活躍する一方、CRMは案件のプレ段階からアフターまで幅広くカバーし活用されています。

1.3.CRM・SFAの比較表

次にCRM、SFAのの目的や機能などを、比較表をもとに解説します。

  SFA CRM
起源 営業現場をITによって効率化するため 経営的観点から顧客満足度を向上するため
目的 営業活動の効率化 顧客満足度の向上
機能

ダッシュボード(営業指数の可視化)
顧客管理(3層)
スケジュール管理
帳票連携
商品管理
リマインダー

顧客管理(2層)
ダイレクトメール
イベント管理
アンケート
CTI
ポイント管理

このように、「顧客情報の管理」点では似ていますが、営業チームの活動を標準化しようとしたのがSFA、顧客満足度の向上を目的としたのがCRMと両者の目的には明確な違いがあります。次の章では業務範囲の違いについて、さらに詳しく解説します。

2.SFAとCRMの業務範囲の違い

SFAは営業活動の効率化を目的としてものであり、CRMは顧客満足度の向上を目指すものです。下図のように、対象とする業務範囲が明確に異なります。近年SFAとCRM両方の機能を併せ持つ統合ツールの登場も見られ、両者の隔たりは少なくなってきています。SFAとCRM両方の機能を揃えた製品も多く登場しています。
次はSFAとCRMの主な機能を解説します。

SFA_CRM

3.SFAでできること

SFAは、以下のような機能で営業活動を支援します。

3.1.ダッシュボード

営業活動によって得られる売り上げなどの数値をデータ化したものを、グラフや表といったものに可視化し、営業に注力すべき季節、顧客層、地域の絞り込みや提案資料の要素として活用します。

 3.2.顧客情報管理(3層)

顧客情報を「顧客情報」「案件情報」「商談情報」と3層で主に管理するのがSFAの強みの一つです。どの顧客に対して、どの案件が動いていて、いつだれが商談したかが一目で確認することができます。

3.3.カレンダー

商談情報とカレンダーを紐づけることで、いつだれがどこで商談するのかを可視化します。Googleカレンダーのような、個人利用に最適化されたスケジューラーとの違いは、チームで活用することを前提とするため、各カレンダーに対してコメントができるなどコミュニケーション機能がついている製品が主流です。

3.4.帳票出力機能

営業活動の中で、見積書をシームレスに発行できる機能です。商談管理情報に加え、商品マスタDBを用意しておくことで、ボタン一つで見積り書を発行することができるシステムの構築も可能と言えます。

3.5.商品管理

商品の在庫の管理をおこないます。SFAの種類によっては、商品マスタDBと連動し受発注の管理までおこなえる高機能なものも存在します。更に帳票連携を組み合わせることで、受注処理の手間を各段に減らすことができます。

3.6.リマインダー

カレンダー機能や案件管理と連動し、ToDoや商談期日のリマインドをします。Emailのリマインドが一般的ですが、製品によってはカスタマイズをすることでSMSなどでの受け取りができるものもあります。

4.CRMツールでできること

CRMは以下の機能で顧客管理を支援します。

4.1.顧客情報管理(2層)

SFAツールとの違いは商談情報が必要でないため、主に顧客情報と案件情報の2層の管理となることです。また、案件情報は営業案件とは限らず、例えばコールセンターの問い合わせなど多岐にわたります。

4.2.ダイレクトメール

顧客情報データベースと連携することで、顧客に対して一斉にメール配信ができる機能です。顧客の趣向に合わせて絞り込みを行い、キャンペーン情報などをメールで送ることにより顧客の満足度を向上させます。

4.3.イベント管理機能

顧客が買った製品やサービスについてセミナーを行う際、申し込みフォームやリマインドメールなど関連した業務が多々あります。それらの機能をもったCRMを活用することで、見込顧客の獲得や既存顧客への認知をも広めることができます。

4.4.アンケート

製品についてのアンケートフォームを作成し、顧客データベースと紐づけることで顧客の生々しいニーズを収集することが可能です。また、アンケート結果を分析し可視化することで、顧客の隠れたニーズを掘り起こします。

4.5.CTI(Computer Telephony Integration System)

電話やFAXとコンピュータシステムを統合させるものです。例えばCRMの顧客管理データベースと連動させることで、顧客から受けた電話の電話番号を元に、PCのモニタに顧客の過去の問い合わせを表示させるといった活用ができます。瞬時に過去の対応履歴が確認でき、顧客にとって気持ちのいい対応をすることができます。

4.6.ポイント管理

顧客のポイント発行/利用/失効状況を分析します。また、購買頻度や購買金額によってランキング分けすることで、より深い顧客ニーズを分析することができます。

5.SFAとCRMどちらを導入すべきか

SFAとCRMは目的が明確に違うと前述しました。自社の課題がどちらかによって、導入すべきシステムが変わります。シンプルに下記の2択で考えれば良いでしょう。
ただし、近年ではSFAとCRMが一体となった製品も登場しています。どちらも導入したいのであれば、SFA・CRM一体型の製品を選んでも良いでしょう。

  • 営業の効率化が目的→「SFA」を導入
  • 顧客管理、顧客満足度の向上が目的→「CRM」を導入

6.まとめ

この記事ではSFAとCRMの特徴についてプロの視点から解説してきました。SFAとCRMの役割や違いを理解頂けたのではないでしょうか?
SFAとCRMについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照下さい。

5分で読めるどこよりも詳しいCRM徹底解説
営業マネージャ必見!営業活動を効率化するSFAのすべて

自社の課題が、「顧客満足度」にあるのか、「営業の効率化」にあるのかによって選定すべきシステムが異なると前述しました。最適なシステムを選定するためにまずは、自社の課題・目的がどこにあるのか整理してみましょう。