「CRMってよく聞くけど、そもそもCRMとはどんなもの?」「ITはよく分からないし、今さら部下には聞きづらい」という方も多いのではないでしょうか?
CRMとは顧客との関係を管理するマネージメント手法のことです。ビジネスマンなら必ず抑えておくべき重要なマネージメント手法です。しかし、CRMの概念は幅広く、そのことが理解を難しくしています。しかし、抑えておくべきポイントはそれほど多くありません。
この記事では、おさえておくべきCRMの基礎知識を、5分で読めるように「ポイントをしぼって」詳しく解説します。この記事を読めば、CRMについて理解することができます。
Contents
1.CRMとは
CRMとは顧客との関係を管理するマネージメント手法のことです。CRMは、英語の「Customer Relationship Management」の略語であり、顧客との関係を構築・管理し、顧客満足度を向上させることでビジネスを成功に導くことを目的とする取り組みのことです。
CRMは必ずしも大規模のシステムである必要はなく、紙のカードやノートを利用することもできます。ビジネスの規模が小さいうちはExcel等のスプレッドシートを使って顧客の情報を管理することも多いでしょう。
単に顧客の情報と言っても多岐にわたります。氏名や性別、住所といった簡単な属性情報から、購買履歴、問い合わせやクレームの内容といったことまで含まれます。膨大な顧客数のさまざまな情報を管理・分析するにはやはりITシステムとしてのCRMシステムが必要となります。
CRMで管理する項目の例
- 顧客属性
- 氏名
- 性別
- 生年月日、年齢
- 住所
- メールアドレス
- 職業
- 趣味嗜好
- 購買履歴
- 問い合わせ履歴(電話、メール)
- 行動履歴(見るだけで購入しない等)
2.CRMが普及した背景
大量生産・大量消費を前提としたマスマーケティングの時代は個々の顧客情報の管理はそれほど重要ではありませんでした。市場環境の変化により、顧客情報を蓄積・管理してさまざまな角度から徹底的に分析し、顧客の嗜好にあった製品・サービスを提供する必要がでてきました。そこでCRMというコンセプトが注目され始めたのです。ITの発展により、膨大な顧客情報の蓄積・管理・分析が可能となってきたことも大きな要因です。そして、CRMはITシステムであることが前提として考えられるようになりました。
3.CRMシステムの代表的な活用事例7選
CRMシステムは顧客の情報を管理するデータベースが基本ですが、さまざまな用途に活用できます。この章では、代表的な活用事例を7つにしぼって解説します。
CRMの全体像
3.1.CTI
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話やFaxをコンピュータシステムの一部として統合することです。オペレータが電話の発着信や通話をヘッドセットの接続されたコンピュータで行うことができるようになります。
CRMと連動することで、画面上に現在の通話相手に関連する情報を表示したり、新しい情報をCRMシステムに入力することができたりします。
顧客からの電話を受けることが多い業務部門の場合は、CTIと連動できるCRMシステムを導入する必要があります。
3.2.コールセンター
コールセンターは顧客との接点を持つという意味でCRMのコンセプトにとっては重要な業務です。コールセンターにCRM施策を行うにあたっては、CRMとCTIを組み合わせたシステムの導入に加えてコールセンター全体の改善(マニュアルやスクリプト)やオペレータの育成などが行われます。
3.3.アフターサービス
アフターサービス業務では顧客からの依頼(修理、消耗品補給など)やクレームを受け付けることになります。顧客の購買履歴を正しく把握できる必要があり、そのためにはCRMシステムにある顧客情報に適切にアクセスできなければなりません。
また作業依頼や部品の調達などを管理するシステムと連携できるソリューションを選択することで業務の効率をあげることができます。
3.4.営業支援(SFA)
SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を支援して効率化するシステムです。具体的には既存顧客や見込み顧客のそれぞれについて、過去の商談の履歴や、現在進行中の案件の進捗情報、営業活動を通じて入手した情報、アポイントメントや期限といったスケジュールなどを管理することができます。また、これらの情報をチームで共有することにより、属人性を廃して組織として効率的に営業業務を行うことができるようになります。
CRMにはSFAの機能を取り込んだものもありますし、SFAにCRMの機能を取り込んだものもあります。SFAを活用するにはCRMにSFA機能があるかどうかを確認しましょう。
3.5.販促
販促(プロモーション)とは、目先の売上をあげるために、短期的な購買を促進もしくは喚起を目的として行う活動のことです。具体的には、商品広告、期間限定の懸賞や奨励金などのインセンティブ、店頭ポップなどがあげられます。
CRMで管理された顧客情報を分析して、顧客ごとにカスタマイズされたきめ細かい販促を行うことが可能となります。
3.6.ポイントカード管理
多くのCRM導入企業がポイントシステムを導入しています。典型的なポイントシステムは、顧客にポイントカードを発行し、購買ポイントに応じで値引きサービスを提供するものです。ポイントシステムにより顧客の購買情報を把握できるようになり、CRMシステムにそれらの情報を蓄積できるようになります。
3.7.見込み客管理
CRMは一般的には既存顧客との関係を管理しています。マーケティング活動によって収集した見込み客を分けて管理したくなることがあります。このような場合は見込み客管理に対応したCRMシステムを選定する必要があります。
4.カルチュア・コンビニエンス・クラブの活用事例
下図はTポイントというポイントサービス展開しているCCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)CRMの活用事例です。
(http://www.ccc.co.jp/customer/optout.html)
お客様はTカードを作成するときに一度だけ氏名・住所などの属性情報を登録します。Tポイント導入店ではお客様の情報を毎回入力しなくても、お客様の購買履歴を蓄積することができるようになります。お客様の購買履歴を分析し、お客様の属性にあわせたキャンペーンDMを発送することができるようになります。お客様の属性を絞ったキャンペーンを実施することは、売上向上とキャンペーンにかかるコストの削減効果が期待できます。
5.おさえておくべきCRM導入の3つの注意点
CRMを導入しただけでは十分ではありません。CRMを機能させるには顧客中心となるよう体制やプロセスを含めて改革に取り組み必要があります。例えば担当営業が名刺データベースとしてのCRMシステムを利用しているだけでは十分です。
顧客情報を全社で一元化するようにプロセスを変更し、マーケティング部門はマーケティングの分析に使用し、製造部門は製品に顧客の声を反映させるために使用します。またSNS(ソーシャルネットワークシステム)を活用するなどして、個々の顧客と密にコミュニケーションをとれるような仕組み作りも重要になります。
5.1.複数システム間での顧客情報のメンテナンス
顧客情報の管理は営業部門、アフターサービス部門、経理部門等で別々に管理していることがあります。CRMを導入したとしても、ある部門ではそれまでの管理システムを使用しなければならない場合があります。その場合はCRMとそのシステムとで2重に顧客情報をメンテナンスしなければなりません。
システム間でどう同期するのか運用面を考慮しましょう。特に検討しているCRMの入出力インターフェースが既存システムの入出力インターフェースと対応しているかどうか、同期する頻度が検討材料になります。
5.2.セキュリティでの注意点
顧客情報の一元管理ができるようになることはCRMのメリットです。しかし顧客に関するすべての情報が一か所に集まることになりますので、万が一情報流出の事故が起きた際には顧客に関するあらゆる情報が漏えいしてしまい、信用面でも金銭面でも多大な損害につながります。CRMシステムへのアクセスは厳重に管理する必要があります。
5.3.費用対効果
CRMの導入には費用がかかります。導入費用だけでなく、ソフトウェアライセンスやシステムメンテナンスにかかる人件費等のランニング費用も忘れてはいけません。CRMの効果として売上向上や顧客サービスの向上が見込まれますが、どの程度の効果を狙っているのか、その効果の程度が費用に見合うのかをよく検討しなければなりません。
「機能数が多い=効果が高い」というわけではなく、狙っている効果に見合ったCRMシステムを選定することが大切です。極端な例としては、2人程度で数人の顧客をサポートしているのなら、Excelでの管理で十分かもしれません。
6.主なCRMソフトウェア
CRMソフトウェアの選定する判断材料として主に以下のことを考慮します。
- 機能 – 利用したい機能が備わっているかどうか
- コスト – ソフトウェアライセンス料(有料/無料)、導入費用、ランニング費用
- 利用形態 – クラウド型かオンプレミス型か
以上の分類で主なソフトウェア紹介します。
- Saleforce.com 高機能、クラウド型
- Microsoft Dynamics CRM 高機能、オンプレミス型
- SugarCRM 高機能、オープンソース(一部機能は有料)、オンプレミス型
- zoho CRM 中小企業向け クラウド型
- Excel 低コスト、オンプレミス型(個々のPCにインストール)
個々のソフトウェアの詳細・比較については以下の記事で徹底的に詳しく解説します。こちらもご参照下さい。
「これさえ読めば分かる!CRMシステム徹底比較」
7.まとめ
この記事ではCRMの概要、導入例、用途、導入における注意点について説明してきました。CRMについて理解がかなり深まったのではないでしょうか。御社でCRMを導入した方がいいかどうか判断できるようになったと思います。導入を決断したならCRMソフトウェアの選定に進んでください。