コールセンターはお客様と直接対話する業務でありお客様の満足度に直結します。お客様に「良かった」と感じてもらうことが同じ商品・サービスを使っていただくためには大切なことです。
ですので、コールセンターの品質をあげるための日々の改善は欠かせません。オペレータの育成や業務マニュアルの改善を常に継続していく必要があります。それと同時に、オペレータの業務を支援するためにCRMを活用することも近年とても重要になっています。CRMを活用することにより、お客様の満足度をより向上させることができます。
この記事を読むことで、コールセンターでお客様満足度をあげるためにCRMをどう活用していけばいいのか理解することができます。
1.顧客満足度のポイントはスピードと品質
お客様に満足を与えるポイントは「回答のスピード」と「回答の品質」です。この2点を改善するには「自動応答の最適化」「FAQの整備と活用」「エスカレーションのタイミング」を実施、改善するのがコツです。これらを支援してくれるようなCRMシステムを導入しましょう。
1.1.自動応答の最適化
コールセンターではオペレータごとに担当する商品・サービスが異なっています。お客様が一番不満に感じることは適切な担当の人が最初から出ずに、たらい回しにされることです。
お客様からの電話に対して、自動応答しプッシュボタンでの操作を促すことで、適切な担当にダイレクトにつなげることができるようになります。また、自動応答によってオペレータの業務が効率化し、話し中で待たせる時間も短くなるという効果もあります。
自動応答に対応したシステムは限られてきますので、自動応答が必要な場合はこの機能がついているのか確認しましょう。人工知能を使った音声による自動応答ができるシステムも出てきています。
1.2.FAQの整備と活用
お客様からの問い合わせにはFAQを確認して回答することが多いのですが、FAQが充実していなかったり、検索しづらかったりするとお客様をお待たせしたり、適切な回答ができなかったりします。
日々受けている問い合わせ内容は重要なFAQコンテンツとなります。コールログを蓄積し、FAQを構築・分析する機能を持ったCRMがコールセンターに向いています。
1.3.エスカレーションのタイミング
コールセンターにおいてオペレータが対応できない場合、上位者や専門職者に問合せ内容をエスカレーションすることになります。エスカレーションをする際に電話転送だけでなく、受け付けた内容をシステムで転送できるようになるとスムーズな対応ができるようになります。
また、対応回数を管理するインシデント機能もあると、後から見直して、オペレータの教育やFAQの改善につなげることもできます。インシデント機能の有無を必ず確認して下さい。
2.コールセンターに適したCRMソフトウェア
効率的なコールセンターを運営するには、CTIと呼ばれる電話回線とコンピュータをつなぐシステムが欠かせません。CTIと連携する機能を持つCRMがコールセンターで使用するための条件となります。
以下ではコールセンターに適した代表的なCRMシステムを紹介します。
2.1.CRM世界シェアNo.1のセールスフォース・ドットコムの「Service Cloud」
「Service Cloud」はCRMシステムでは世界シェアNo.1のセールスフォース・ドットコムが提供するコールセンター用のソリューションです。営業支援ソリューションの「Sales Cloud」やマーケティング支援ソリューションの「Marketing Cloud」と組み合わせて全社的な取り組みが可能です。
- 価格:7,500円/月/ユーザ~
- 提供形態:クラウド
- 企業規模:大企業向けですが中小企業でも導入しやすい価格設定です
- 導入企業例:アスクル
http://www.salesforce.com/jp/service-cloud/overview/
2.2.国内導入実績が豊富な「FastHelp5」
「FastHelp」は国内トップクラスの導入実績を誇るコールセンター向けCRMシステムです。多数の国内先進企業に導入されており、その経験、ノウハウを元に、豊富な機能を標準で装備しています。
- 価格:同時使用5ユーザーの最小構成で180万円~
- 提供形態:クラウドまたはオンプレミス
- 企業規模:大企業向けですが中小企業でも導入しやすい価格設定です
- 導入企業例:楽天証券、札幌ドーム、スズキ、コクヨ
https://www.techmatrix.co.jp/crm/fasthelp5/index.html
2.3.小規模センターでも導入しやすい「UCCAP」
「UCCAP」はコールセンターソリューションで15年以上のノウハウを培ってきた日本ユニシスの製品です。小規模センターでも導入しやすい価格設定となっており、カスタマイズも可能です。
- 価格:2,000,000円(基本サーバライセンス) + 100,000円/ユーザ
- 提供形態:オンプレミス
- 企業規模:中小企業
- 導入企業例:西日本高速道路株式会社
http://www.unisys.co.jp/solution/biz/crm/uccap/index.html
2.4.クラウド型コールセンターシステムのパイオニアコラボスの「コラボス CRM」
コラボスはコールセンターを立ち上げる時に必要なPBXやCTIシステムをクラウドで提供し、設備投資不要でスピーディにコールセンターを立ち上げるソリューション(@nyway)を提供しています。
そのコラボスがインバウンドのコールセンター向けに機能を特化したのが「コラボスCRM」です。コラボスのクラウドCTIとの連携はもちろんのこと、他のCTIとも連携できます。インバウンドだけでシンプルな構成をお求めなら最適です。
- 価格:初期費用 800,000円~、月額費用 15,000円~
- 提供形態:クラウド
- 企業規模:中小企業、スタートアップ
- 導入企業例:SCSKサービスウェア、和信化学工業、ヤマハ、ファイザー日本サブウェイ
https://www.collabos.com/service/in.html
2.5.オープンソースでコールセンターシステムを組みたいなら「SugarCRM」「vtiger CRM」
SugarCRMはオープンソースのCRMシステムとしては導入企業数世界No.1です。SugarCRMは一部機能を有償で提供していますが、SugarCRMから派生したvtigerCRMは全機能を無償、オープンソースで提供しています。
どちらもオープンソースのIP-PBX、CTIシステムの「Asterisk」と連携することができ、オープンソースだけでコールセンターを簡易に立ち上げることが可能です。商用サポートを受けるなら「SugarCRM」、サポート不要で高機能CRMをしようしたいなら「vtigerCRM」になります。
- 価格:無料~
- 提供形態:オンプレミス
- 企業規模:中小企業、スタートアップ
3.コールセンター内の活用から全社的な活用へ
コールセンターで受けたお客様の声は経営上有益です。CRMに記録することで全社で情報共有することができます。他部門でその情報を活用することで、売上向上や業務効率化、さらなるお客様満足度向上につながります。
コールセンターで蓄積された情報を営業、マーケティング、製品開発に活かしていきましょう。
3.1.営業支援
コールセンターでお客様から受けた内容を担当営業が閲覧することで、そのお客様のフォローを適切にすることができ、お客様との関係をより良いものにすることができます。
また、営業部門がコールセンターのFAQを活用することで、顧客訪問時に受けた質問も担当営業が適切に答えることができ、お客様からの信頼を獲得するのにつなげることもできます。
3.2.マーケティング
お客様の求めているもの、困っているものをマーケティング部門が知ることで、マーケティングプランの作成に活用できます。例えば、よく問い合わせを受けるお客様の属性と内容を把握し、その属性をターゲットして問い合わせ内容に答えるようなメッセージをダイレクトメールに含めれば、お客様の心に響く可能性が高くなります。
3.3.製品開発
コールセンターには製品に関する苦情、改善案も多く集まります。コールセンターに寄せられたお客様の声を分析することで、多くのお客様が改善して欲しいと感じていることが分かるようになります。これらの情報を商品開発、製品改良につなげることで、より満足してもらえる商品を開発することができるようになります。
4.まとめ
この記事では、全社的なお客様満足度を向上するためにコールセンターでCRMをどう活用していくかプロの視点から詳しく解説してきました。これからコールセンターにCRM導入を検討している人も、既にCRMを導入済みの人もあらためてコールセンターでのCRM活用ポイントを理解できたのではないでしょうか。
次は、コールセンターへのCRM導入を検討し顧客満足度向上につなげて下さい。