「リードナーチャリング」という言葉をご存知でしょうか?
マーケティング部門や営業部門で「リードナーチャリング」という言葉を知らないのであれば、「時代遅れの危ない状態」と言っても過言ではありません。
リードナーチャリングとは、様々なアプローチを通して見込み客の購買意欲を高め顧客へと育成していく課程のことです。
近年、IT技術の進歩により「デジタルマーケティング」や「マーケティングオートメーション」などITを活用したマーケティングに非常に多くの注目が集まり、「リードナーチャリング」というワードが日本でも普及しつつあります。
IT化が進んだ現代において、顧客はWEBとリアルを複雑に行き来して企業・商品を選定、購買・契約します。
今後、さらに顧客行動が複雑化し続ける世界で企業が生き残っていくには、「デジタルマーケティング」や「マーケティングオートメーション」といわれるIT技術の活用が必須と言われています。「デジタルマーケティング」や「マーケティングオートメーション」に取組めない企業は次第に淘汰されていくでしょう。
この記事では、リードナーチャリングの概要やリードナーチャリングで圧倒的に結果を出すためのステップ、リードナーチャリングを強力に支援するマーケティングオートメーションの機能について詳しく解説します。マーケティングはデジタルと融合する時代です。この記事を読んでリードナーチャリングとそれを支えるIT技術について知識を深めて下さい。
Contents
1.リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、様々なアプローチを通して見込み客の購買意欲を高め顧客へと育成していく課程のことです。マーケティング・顧客化の流れは、下図のように「リードジェネレーション(見込み客の獲得)」→「リードナーチャリング(見込み客の育成)」→「顧客化」→「顧客維持・優良顧客化(ロイヤルカスタマー化)」という流れが一般的です。
リードナーチャリングの3つの本質
リードナーチャリングを一言でいうと「見込み客の育成」という意味になります。
以下3点がリードナーチャリングの本質です。この3つの本質をしっかり抑えましょう。
- 見込み客の状況(購買意欲)をどのように把握するか
- 見込み客の購買意欲をどのように高め育成するか
- 購買意欲の高い(または、高くなった)見込み客をいち早く察知・抽出しどのように顧客化へのアクションへつなげるか
デジタル化するか、さもなくば死か
リードナーチャリングにおいて、この3つの本質を捉えて圧倒的に効果を上げていくには、「マーケティングオートメーション」や「デジタルマーケティング」といったデジタル(IT技術)の活用・融合が欠かせません。
世界的なマーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラーは、「ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン2015」で、「デジタル化するか、さもなくば死」とまでマーケティングとデジタルの融合を推奨しています。
リード(見込み客)のフェーズに応じたナーチャリング(育成)が重要
近年、市場に製品やサービスが溢れたため、顧客はウェブ(オンライン)とリアル(オフライン)を複雑に行き来して製品やサービスを選定、購買・契約に進みます。
展示会やセミナー、WEBサイトを通して多くのリード(見込み客)を集めたとしても、見込み客のフェーズに一致しなければ簡単には購買・契約には結びつきません。
購買意欲が低い見込み客には関係継続と購買意欲の育成につながるアプローチをし、購買意欲が高い顧客には営業部門と連携し商談化するアプローチをとらなければ顧客化は難しいでしょう。アプローチには「早い」と「遅い」があります。顧客企業の購買プロセスの理解・状況把握と育成、そしてプロセス毎の適切なアプローチが重要なのです。
2.リードナーチャリングで圧倒的な結果を出す5つのステップ
前章で、リードナーチャリングの本質は以下の3つであると解説しました。
この章では、リードナーチャリングの3つの本質を実行し圧倒的な結果を出すための5つのステップについて解説します。
ステップ1:ターゲットを明確化する
ターゲットの明確化は、マーケティングの基本中の基本です。ターゲットを明確化することにより、ターゲットに合わせた効果的な施策を選択できるようになります。逆に、ターゲットが明確でない状態でナーチャリング施策を打つことは「ギャンブル」と言っても過言ではありません。
もちろん施策はやってみないと分からない事も多いですが、施策を実行する前に「仮説」を立てなければその成功率はギャンブルになるでしょう。そして、仮説を立てるにはターゲットの明確化が必要です。だから「ターゲットの明確化」はマーケティングの基本中の基本と言われるのです。
リードジェネレーション(見込み客の獲得)では「見込み客を獲得するためのターゲットの明確化」を行いました。リードナーチャリングでは、さらに一歩踏み込んで「見込み客を顧客に変えるためのターゲットの明確化」が必要です。
以下を参考にターゲットを明確化しましょう。
ターゲットを明確にする3つのポイント
- ポイント1:属性
ビジネスマンがターゲットの場合は、年齢、職業、性別、年収、居住地、学歴など
企業自体がターゲットの場合は、企業規模(売上高・従業員数)、業種・業態、利益率な、所在地、商圏など - ポイント2:価値観
価値観、思想など。ビジネスマン、企業どちらも持っています。慣れないと難しいですが明確化しましょう。 - ポイント3:課題・悩み、実現したいこと
ビジネスマンも企業も課題や悩み、実現したいことがあるから製品やサービスを購入します。必ずターゲットの課題や悩み、実現したいことも明確化しましょう。
ステップ2:見込み客情報(リード情報)をシステムで一元管理する
リードナーチャリングで圧倒的に効果を上げるには、見込み客情報(リード情報)のシステム化(一元管理)も欠かせません。WEBサイトやセミナーなど様々な施策を通して見込み客情報を得たとしても、適切に管理できなければリードナーチャリングにつなげることは難しいでしょう。多くの企業で見込み客情報の管理ができていません。
見込み客情報(リード情報)を適切にマージ(情報の統合・合併)・パージ(不要情報の削除)し、一元管理するシステムとビジネスプロセスが必須です。
一元管理する仕組みは、マーケティングオートメーションの基本機能としてどの製品からも提供されています。マーケティングオートメーションを導入することで簡単に手に入れることができるでしょう。
ステップ3:見込み客を育成する・関係を強化する
見込み客情報の一元管理までのビジネスプロセスの整備ができたら、次は見込み客の育成です。見込み客を育成するには一般的に以下の方法があります。
多くの選択肢がありますが、重要なのは明確化したターゲットの特徴からどの方法が効果的か仮説を立ててから実行することです。そして、「顧客の求めていること・願望を満たす」コンテンツを提供することが重要です。ニーズに合わないコンテンツをいくら提供しても効果は出ません。「努力より正しい選択」という言葉を憶えておいて下さい。
これらの方法は短期的に行うものではありません。マーケティングシナリオを作り、見込み客の行動管理をしながら中長期的に行っていかなければ見込み客を育成することはできません。
ステップ4:見込み客(リード)の行動管理
次は、見込み客の行動をシステムで管理・視覚化します。様々なナーチャリング手法を用意しても、見込み客のフェーズとナーチャリング手法がマッチしていなければ効果は期待できません。見込み客の行動を把握して見込み客のフェーズ(情報収集タイミングなのか購買タイミングなのかなど)を見極め、最適なナーチャリング手法を選択していくことが重要です。最適なナーチャリング手法を選択していくには、見込み客の行動をシステムで管理し視覚化する必要があります。
顧客はウェブ(オンライン)とリアル(オフライン)を複雑に行き来して選定します。この複雑な行動管理はExcelなどアナログでは難しいでしょう。積極的にマーケティングオートメーションを活用して管理して下さい。
ステップ5:行動分析・スコアリング
マーケティングオートメーションが提供する分析機能やスコアリング機能を活用することで、見込み客のフェーズや育成度合いを可視化・見極めることができるようになります。フェーズの見極めは、従来は担当者の経験から導き出されていました。属人的な業務のため、さばける量と時間に制約がありましたが、マーケティングオートメーションの登場により自動化が進み、制約が取り除かれ始めています。
マーケティング用語の1つに「ドリップ」という言葉があります。「ドリップ」とは、見込み客のフェーズに合わせて段階的にコミュニケーションをとることを意味します。そして、顧客を育成し最終的には購買意欲の高い顧客に絞りこみ、営業を通してクロージング(販売・契約)します。こういった事を行うために行動分析とスコアリングが不可欠なのです。
この章ではリードナーチャリングで圧倒的に結果を出すための5つのステップについて詳しく解説しました。必要なステップとマーケティングオートメーションの重要性をご理解頂けたのではないでしょうか。次はリードナーチャリングを強力にサポートするマーケティングオートメーションの機能を詳しく解説します。
3.リードナーチャリングを強力にサポートするマーケティングオートメーションの機能
マーケティングオートメーションは、多くの機能を備えています。この章では、リードナーチャリングをサポートするマーケティングオートメーションの機能に絞って解説します。
※マーケティングオートメーションの基本機能やリードナーチャリング以外の機能は別記事で解説していますので併せて読むとより理解が進みます。
3.1.行動管理機能
見込み客の様々な行動を一元管理する機能です。この機能により、見込み客がどのようなアクションを取っているのか可視化することができます。
また、WEBでの行動だけでなく、セミナーや展示会などリアルイベントの行動も管理することができる製品もあります。
3.2.スコアリング機能
スコアリング機能は、収集した見込み客の行動情報をもとに、見込み客の育成状態を可視化してくれる機能です。この機能によりナーチャリング施策による効果を見込み客ごとに確認することが可能になります。
見込み客単体、キャンペーン単位のスコアリングなど様々な機能が提供されています。
3.3.シナリオ作成機能(オートメーション機能)
スコア状況や見込み客がとった特定の行動などをトリガーに様々なアクションを自動化する機能です。メールマガジンの配信、テレコール部隊への指示、営業部隊へのピッチなど様々なシナリオを作成することができます。マーケティングオートメーションのコア機能の1つです。
3.4.メールマガジン・メールマーケティング
メールマガジンを自動配信する機能です。スコア別やトリガー別に配信するメールを設定することが可能です。近年では、AIによるレコメンドメール機能を搭載している製品もあります。メールを配信するだけでなく、開封率などを集計してくれる機能もありマーケティングオートメーションを導入するだけでメールマーケティングに必要なすべての機能を手に入れることができます。
3.4.ソーシャルマーケティング機能
ソーシャルマーケティングの機能は近年注目されている重要な機能です。まだ新しい領域のため、機能を備えていない製品もありますが、主に以下3つの機能を備えています。
ソーシャルリスニング
リードがソーシャルメディア(Facebook、Twitter、YouTube、ブログ等)で発信している情報を収集します。
ソーシャルシェアリング
キャンペーン等に共有ボタンを追加し、見込み客が企業のメッセージをより多くの人に拡散するようにします。誰が拡散しその結果誰がコンバージョンにつなげてくれたかをトラッキングすることができたり、適切なタイミングで共有を促すトリガー機能を提供したりする場合もあります。
ソーシャルプロモーション
投票、懸賞、知人紹介プログラムなどのソーシャルア プリケーションで、エンゲージメントを高めたりメッセージの拡散を促進したりすることが可能です。こうしたソーシャルコンテンツを簡単に作成し、ウェブサイト、ランディングページ、Facebook ページ、 メールに配置することができるような機能を有しているものもあります。
3.5.分析・レポーティング機能
マーケティング活動の結果の分析やレポート出力する機能です。この機能を活用してマーケティング施策の仮説に対する結果を検証し、次のアクションにつなげることができます。様々な条件を設定し抽出できる製品もあります。
4.まとめ
この記事ではリードナーチャリングの概要からリードナーチャリングで圧倒的な結果を出すための5つのステップ、リードナーチャリングを支援するマーケティングオートメーションの強力な機能を詳しく解説してきました。
リードナーチャリングとリードナーチャリングを支援するマーケティングオートメーションの機能について理解が進んだのではないでしょうか。マーケティングは実行する前の戦略と計画がキーです。次はコンサルティング会社やベンダーに連絡をとりマーケティングオートメーションの活用を検討して下さい