クラウドストレージとは?ビジネス用途のメリット・活用方法を解説

スマートフォンやタブレット、無線通信の浸透により、個人向けクラウドストレージへの需要が拡大しています。一方、ビジネス用途では、まだまだ一般的とは言えないかもしれません。ビジネス用途でのクラウドストレージ導入は、情報共有・伝達コストを低減しつつ、セキュリティを高める施策として有効です。ここでは、クラウドストレージの概要と、ビジネス用途におけるメリット、活用方法などを紹介します。

1:クラウドストレージとは?

クラウドストレージは、クラウドサービスとして提供されるオンラインストレージです。

従来のストレージに求められてきた「大容量」「堅牢性」「安定性」と、クラウドサービス特有のメリットを両立したサービスといえるでしょう。以下は、一般的なクラウドストレージの特徴です。

○クラウドストレージの特徴

  • ブラウザ上から手軽さに利用できる
  • 無料プランや安価な月額プランが豊富でコストパフォーマンスが高い
  • スケーラビリティが高い(容量の調節が容易)
  • ネットワークやサーバーの調達が不要なため、導入のハードルが低い
  • 高いレベルで冗長性が確保されている

○クラウドストレージの仕組み

ビジネス用途向けとして提供されるクラウドストレージは、以下3つの方式のうち、いずれかの仕組みを採用しています。

・ブロックストレージ方式

ストレージを一旦論理的なボリュームに分割し、さらに一定の大きさを持つ「ブロック」として区切ります。ブロック方式では、固定長のブロックがデータを読み書きする基本単位になります。ブロックごとにデータを書き込んできます。例えば、「1ブロック=4KB」のHDDに20KBのデータを書き込む際は、5ブロックが使われるという具合です。シンプルな仕組みであることから、信頼性やパフォーマンスが高い方式といえるでしょう。ただし、増大し続けるデータへの対応が難しく、スケーラビリティがやや低いというデメリットもあります。

・ファイルストレージ方式

ファイルシステムやファイル共有プロトコルを使用し、データを管理する方式です。ファイルやデータに名前を付け、フォルダを作成し、一定の経路(パス)を設定できるため、アクセシビリティが高いという特徴を持っています。一方、容量が増えるごとにパフォーマンスの低下が発生するというデメリットがあります。

・オブジェクトストレージ方式

オブジェクトストレージでは、オブジェクト単位でデータを管理します。オブジェクトは「実データ、メタデータ(データの属性情報など)、オブジェクトID」の3つで構成されており、階層構造のないフラットな空間で管理されています。そのため、理論上はデータサイズやデータ数の保存制限がなく、大容量データの保存に適しています。また、スケーラビリティが高く、持続的に増大するデータにも柔軟に対応できることも強みです。3つの仕組みの中では最も新しく、近年、クラウドストレージの主流になりつつある方式です。ただし、ブロックストレージやファイルストレージに比べてレスポンスが低くなりがちであるというデメリットもあります。

○法人向けクラウドストレージの強み

これら3つの方式で提供される法人向けクラウドストレージは、個人向けソリューションに比べて以下のような強みを持っています。

  • アップロード可能容量の大きさ
  • スケーラビリティ
  • 転送速度の速さ
  • 高いセキュリティ
  • 豊富な管理機能
  • BCPやDRを考慮したサーバーの設置場所

特にスケーラビリティについては、要注目です。半永久的な増加が予想されるデータにも対応できるよう、保存容量の上限がないサービスもあるほどで、個人向けサービスとは一線を画しています。

2:クラウドストレージを使うメリット

クラウドストレージを使用することで、次のようなメリットがあると考えられます。

・データのやりとりにかかるコストの低減

データの送信、保存、受信といったごくシンプルな行為でも、データ自体が大きければそれなりのコストがかかってしまいます。具体的には、メールサーバの負荷や郵送費用、記憶媒体の追加購入費用などが挙げられるでしょう。クラウドストレージは、これらデータのやりとりにかかるコストを一括して低減する効果があります。

・導入が用意で、手軽にセキュリティを高められる

クラウドストレージは、オンプレミス型のファイルサーバー・データストレージ構築などに比べると、導入が容易です。ネットワーク機器やサーバー、NASなどのハードウェアを調達・設置・設定する手間がないからです。

・多人数で最新のデータを共有できる

クラウドストレージは、権限のある人間であれば、いつ・どこからでもアクセスできることが強みです。また、常に最新のデータを共有できるというメリットもあります。そのため、複数人で同時閲覧・更新をかけるようなデータの保管場所として優れています。

3:クラウドストレージの活用事例

こういったメリットから、クラウドストレージをビジネスで活用する事例が増えています。

○ビジネスでの活用事例

  • サーバーログ解析結果の送受信
  • 社内研修動画や研修資料のやりとり
  • 製品カタログ、マニュアルの転送
  • 高い機密性を要する情報(顧客情報や契約書、製品仕様書など)のやりとり
  • メール送信ができない環境からのファイル転送
  • 部署内共通ファイルサーバーや、社内の公開サーバーなど、多人数、高頻度なアクセスがある環境での安定した情報共有と転送
  • 災害対策(DR)やBCP対策として
  • ソフトウェア開発、テスト環境
  • BIツールで使用するデータの保管庫

ビッグデータの有効活用を、ビジネス上の優先課題として掲げる企業が増えていることから、今後もクラウドストレージへの需要は拡大すると考えて良いでしょう。

4:ビジネス利用可能なクラウドストレージの例

最後に、ビジネス利用可能なクラウドストレージをいくつか紹介します。今回は、可用性・セキュリティ・安定性の高さが確保しやすいサービスを中心に選別しています。

Bizストレージファイルシェア

NTTコミュニケーションズが提供する、法人向けファイル転送・オンラインストレージサービスです。Webブラウザのみで最大2GBの情報をやりとりできる使い勝手の良さが評価されています。また、セキュリティ・安定性・サービス品質の高さ(可用性99.955%)も強みです。

1GB:https://bizmall.ntt.com/products/detail/b5eb6870-4074-11ec-9d27-4f362104b270

2GB:https://bizmall.ntt.com/products/detail/a449c1e5-4076-11ec-9d27-4f362104b270

G suite

Googleが提供しているクラウド型グループウェアです。以前は、「Google Apps」という名称で提供されていました。クラウドストレージ機能だけではなく、カレンダーやスプレッドシート、メール機能などが統合されており、チーム間の情報共有・打ち合わせ・資料作成などに活用できます。

Dropbox Business

個人向けクラウドストレージの先駆けともいえるDropboxのビジネス版です。個人向けサービス同様のコラボレーション機能に加え、120日以内の削除済みファイル復元、高度なユーザ管理機能(アクセス権限管理など)、ドメイン認証、シングルサインオンといったビジネス版限定の機能が使用できます。また、実質的に追加容量が無制限である点も強みです。

Box(boxBussiness Plus)

米国BOX社が提供するファイルコラボレーションサービスです。ビジネス用途でのクラウドストレージサービスとしては、世界トップのシェアを誇ります。もともとセキュリティの高さには定評があり、国内でも採用する企業が増えていくでしょう。容量無制限、フォルダリンク共有、アクセス権限の設定などが可能なうえ、資料の共同編集やタスク管理機能も付与されています。

まとめ

本稿では、クラウドストレージの概要と、ビジネス用途におけるメリット、活用事例などを紹介してきました。クラウドストレージは、業務効率化やセキュリティ対策、BRP/DR対策として手軽に導入できるソリューションです。ただし、個人向けと法人向けで仕様が異なるため、提供ベンダーに問い合わせながら慎重に選定することをおすすめします。