事例から見えるクラウドストレージ導入の成功ポイント

クラウドストレージの導入には、情報共有・伝達コストの低減や、セキュリティの向上など、さまざまなメリットがあります。ただし、ネットワークへの負荷や操作性の悪さ、セキュリティリスク対策の甘さから、導入が失敗に終わってしまうケースも少なくありません。クラウドストレージは、課題・効果を整理して慎重に製品を選定すべきソリューションと言えます。ここでは、課題別にクラウドストレージの導入事例を紹介しつつ、クラウドストレージ導入の勘所を紹介します。

1. クラウドストレージとは?

クラウドストレージは、クラウド上から提供されるオンラインストレージです。オンプレミス型のストレージが備えている「大容量」「堅牢性」「安定性」に加え、以下のような特徴を備えています。

○クラウドストレージの特徴

  • ブラウザやエクスプローラーから手軽さに利用できる
  • 無料プランや低額な初期費用・月額プランが豊富でコストパフォーマンスが高い
  • オプション追加やプラン選択によって、容易に容量を増やせる(スケーラビリティが高い)
  • ネットワークやサーバなどハードウェアの調達・設置が不要
  • 高いレベルでセキュリティや冗長性が確保されている

法人向けクラウドストレージでは、この他にも「保存可能容量」「1ファイルあたりのアップロードサイズ」「セキュリティ」「管理機能」などが強化されています。特に法人向けサービス特有の「容量無制限プラン」や「TB単位のプラン」は、半永久的な増加が予想されるデータにも対応できる点がメリットです。

ただし、課題や効果の設定を行わずに導入しただけでは、かえって現場の混乱を招き、導入が失敗に終わる可能性も否定できません。そこで、クラウドストレージ導入を成功させるべく、実際の導入事例を参考にしながら、そのヒントを探ってみましょう。

2. クラウドストレージの導入事例

今回紹介するのは「情報共有」「業務基盤統合・効率化」「機密保持」という課題を、クラウドストレージの導入で解決した事例です。

○クライアントやパートナーとの情報共有

●三井倉庫ビジネスパートナーズ様

https://www.ntt.com/business/services/application/online-storage/bst-sh/customers/mbp-co.html

課題:BPO新規クライアントとスムーズに業務開始したい
営業案件データをセキュアにやりとりしたい
効果:小規模・中規模企業からの受注が増加

BPOサービスを提供している三井倉庫ビジネスパートナーズ株式会社様では、新規クライアントから「電話営業業務を委託したい」との依頼を受けていたそうです。この依頼を遂行するため、顧客とのスムーズなデータ受け渡し手段として、ファイル共有環境の構築が急務となりました。また、この依頼がきっかけとなり、取引先と営業案件データをセキュアにやり取りできる仕組みの構築にも着手したとのこと。実際の対策としては、クラウドストレージを使いたクライアントごとにフォルダー分けや、担当者IDごとにアクセス権限を割り振りを行ったそうです。ユーザ(ID)単位ではなく、容量単位の課金を行うクラウドストレージを採用したことから、低コストでセキュアな環境が構築できました。また、クライアントのセキュリティに対する不安が払しょくされたことで、中小企業のクライアント増に繋がったようです。

○業務基盤統合・効率化

株式会社ニチリウ永瀬様

https://www.ntt.com/business/services/application/online-storage/bst-sh/case/example_33_detail.html

課題: ICTスキルに左右されにくい使い勝手の良い情報共有基盤が欲しい。
細かなアクセス権限が設定できる環境が必要。
効果:操作性が向上し、無理なくプロジェクト進捗管理の導入を実現。
メールお知らせ機能によって、最新の進捗状況チェックの習慣化に成功。
国内外の拠点からセキュアなアクセスが可能に。

株式会社ニチリウ永瀬様(以下、ニチリウ永瀬)は、飼料原料と肥料、園芸用品を中心とした卸売業を展開しています。九州に主要拠点を置きつつも、戦略的M&Aによって全国に拠点が拡がったため、拠点間での業務基盤統合が課題となっていました。具体的には、誰でもプロジェクト進捗管理ができる境が必要だったとのこと。そこで、ファイル共有基盤にクラウドストレージを採用し、WBSシートやガントチャートによる進捗確認が容易にできる環境を構築。同時に、ファイルへのアクセス権限設定や更新を知らせるメール機能によって、柔軟に更新・閲覧が可能な環境を作り上げました。その結果、14を超えるプロジェクトの見える化が進み、経営層の意志決定と社員の士気向上に大きな効果をもたらしたとのことです。

○機密保持

オリーブ国際特許事務所様

https://www.ntt.com/business/services/application/online-storage/bst-sh/case/example_07_detail.html

課題:秘密性の高い書類をEメールやFAX以外の方法で安全に受け渡したい。
システム管理担当者がいなくても使える簡単なサービスを利用したい。
効果:場所や時間に捕らわれないファイル保管が可能に。
事業所の規模に関わらず特許書類のセキュリティ向上に成功。
特許情報の受け渡しにかかる時間を大幅短縮できた。
海外特許事務所や翻訳スタッフとの情報共有が促進された。

国内外問わず、多数の特許情報を扱うオリーブ国際特許事務所では、高セキュアかつ迅速で、誰もが使いやすいデータ受け渡し手段が求められていました。特許出願に必要な書類は、テキストだけにとどまらず、CADデータや画像、PDFファイルなど多岐にわたります。これらはいずれも機密性の高い情報の塊であり、クライアントからのセキュリティに対する要求は高まる一方でした。当初はメール暗号化ソフトウェアで対応していたものの、クライアントの増加によって運用の手間が嵩むようになり、クラウドストレージの導入に踏み切ったとのこと。国内外の関係各所や翻訳スタッフ、出張先での書類アップロードなどでクラウドストレージを活用した結果、ビジネススピードとセキュリティ向上に繋がったそうです。機密性は保持しつつも、他社に先んじて発明の権利を取得する必要がある特許事務所において、クラウドストレージは最適なソリューションだったと言えます。

3. クラウドストレージ導入の勘所

クラウドストレージは、「容量あたりの単価」や「1ユーザあたりの月額料金」に目を奪われがちです。しかし、上記事例を整理すると、以下のような「クラウドストレージ導入の勘所」が見えてきます。

  • 「容量」や「価格」だけを重視せず、セキュリティと使い勝手の良さが両立している製品を選ぶ。
  • 「バックボーンの強さ」や「利用可能ユーザ数の多さ」「転送のスピード」など実際の操作性に繋がる点を重視する。
  • セキュリティやアクセスコントロール(権限設定など)が柔軟に行える製品を選ぶ。
  • 無料トライアルで評価試験(テスト)が可能な製品を選ぶ。

これらの観点を忘れないことが大切です。

まとめ

本稿では、クラウドストレージの概要や導入事例、導入時の勘所を紹介してきました。クラウドストレージの導入では、自社の課題に適合した機能を持った製品を選択することが重要です。そのうえで「直感的に使えること」や「可用性の高さ」「アクセシビリティの高さ」なども重視すべきでしょう。

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