ワークフローシステムは、経費精算や稟議書の申請などの社内手続きを効率化するための仕組みです。大企業では、導入されていない企業がないほど活用されているシステムです。しかし、ITに詳しい担当者がいない中小企業は、まだまだアナログで社内手続きを行っている企業が多くあります。
そこでこの記事では、IT部門でワークフローシステムの導入を経験したプロが、初心者向けにどこよりも分かりやすくワークフローシステムについて解説します。この記事を読んでワークフローシステムを導入する際の参考にして下さい。
Contents
1.ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、経費精算や稟議書の申請など所定の手続きをシステム化したものです。ワークフローシステム上で申請者が申請すると、所定の承認者へと申請書が渡ります。承認者は、ワークフロー上で承認を行います。
このように、今までアナログで行っていた業務を電子化することができます。回覧ルートの設定や権限設定、申請書の保存など多くの機能を持っています。
〈ワークフローシステム概要〉
2.ワークフローシステムを活用する5つのメリット
この章では、ワークフローシステムを活用するメリットについて詳しく解説します。まだまだ社内の申請書を紙で処理している企業は多くあります。ワークフローシステムを導入していない企業は、まずはメリットについて理解を深めて下さい。
2.1.申請&承認作業のスピードが劇的に向上
紙で申請書を処理している場合、承認者が出張などで不在の場合に処理が滞るといったことが起こり得ます。これは、申請書が本社にいかないと承認できないなど場所に制約が生じることが理由です。
ワークフローシステムを導入することで場所の申請と承認をする場所の制約を取り払うことができ、いつでもどこでも申請・承認ができるようになります。よって、申請書が滞ることなく無駄なストレスが軽減されます。
2.2.各業務に集中できる時間を創出
申請書の処理速度が上がることで、それまで処理にかかっていた時間を本来すべき業務にあてることができます。申請書の処理は重要な業務ではありますが、処理業務自体がアウトプットを出すわけではないので、なるべく効率化するべきです。単純作業はなるべく効率化し本来すべき業務に時間を費やせる仕組みを作ることが重要です。
2.3.コスト削減
人的コストの削減はすでに前述しましたが、紙ベースで承認フローを回すと、紙代や印刷という金銭的なコストももちろんかかってきます。ワークフローシステムを導入する事でこれらのコスト削減が可能です。
2.4.入力ミスを防ぐ
アナログ作業の場合、記載ミスや漏れといったヒューマンエラーは避けられません。
ワークフローシステムでは、申請時に入力チェックを自動化することができます。これらの機能を活用することでヒューマンエラーを防ぐことができます。
2.5.過去の履歴参照が容易になる
過去に申請した申請書を遡りたい場合、紙ベースでの業務フローでは膨大な資料のなかから過去の申請書を探す必要があります。ワークフローシステムを導入することで、過去の申請を検索で探すことができるので無駄な時間を削減するとこができます。
3.ワークフローシステムの主な機能
近年のワークフローシステムはとても多くの機能を備えています。機能を知ることで、ワークフローシステムを活用できるか大きな判断材料にすることができます。この章を読んでワークフローシステムの機能について理解を深めて下さい。
3.1.申請フォーム作成
稟議書や伝票など業務に合わせて申請フォームを作成する機能です。PC画面上で作れる製品が多くプログラミング未経験者でも簡単に作成できます。
また、入力ミスを防ぐ機能としてフォーマットチェック(数値、日付)や、入力補助として数値の計算をするフィールドを設置できる場合が多いです。
3.2.ルート設定
申請者の所属する部署や、申請書の種類によって承認経路を条件分岐させることができます。直感的な画面操作で設定がおこなえる製品も数多くあり、業務フローに合わせて簡単に設計することが可能です。
参考:Streamline
3.3.メール通知
申請したワークフローが、申請、承認、差し戻しといったアクションのタイミングでメール通知し、承認者の承認忘れを防ぎます。
3.4.モバイル対応
製品によっては、標準でモバイルに最適化されたビューが用意されています。出張先のホテルなどいつでも、どこでもワークフローの処理をおこなえる環境を整える上で必須の機能となってきます。
3.5.代理申請/承認機能
申請者が不在の時でも、代理で申請/承認できる機能です。担当者が長期休暇などで不在の時でも、業務を滞りなくおこなうことができます。
3.5.全文検索機能
過去の申請を遡るのに欠かせない検索機能です。申請書のタイトルや内容だけでなく、申請書に添付されたpdfなどの文章内までも検索することが可能です。
3.6.システム連携
システム連携の流れとしては、他システムからワークフローシステムへの連携とその逆パターンの2通りがあります。例えば、前者であれば交通費精算時に経路と金額を取り込める機能や、他システムのなんらかのアクションで自動申請するといった連携が考えられます。
後者であれば、決済ずみワークフロースケジュールなどの他システムのデータと紐づけるたり、保存するといった連携が考えられます。システムによって、APIがついていない場合もあるので連携が必要な場合は事前に確認することをお勧めします。
4.ワークフローシステム導入の流れ
この章では、紙で業務フローをおこなっている企業向けに、ワークフローシステム導入の流れをステップ別に詳しく解説します。ワークフローシステムの導入は、IT企業に依頼する事も多いですが、基本的な導入の流れは企業側でおさえておくべき情報です。この章を読んで導入の流れの理解を深めて下さい。
4.1.現状調査
まずは、現状のフローを分析します。必要であればこの段階で社内プロジェクトとしての企画書を準備してグループウェアや社内メールで関係者に共有しておきましょう。
まず初めに、社内の稟議書や費用申請といった紙で申請をおこなっている業務の洗い出しをします。一通り洗い出しができたら、業務フローに落とします。
4.2.現状フローの分析
次に現状フローの分析を行い、問題点や目指すべき姿を明確にします。導入後の効果測定に関わってくるので、一番重要なステップといっても過言ではありません。ツールとしてはパワーポイントやExcelなどでも良いですが、Cacooなどのオンラインツールを使うと作成工数を減らすことができます。
さらに、それぞれの申請書で以下の項目を主管部署にヒアリングし明確にします。
〈主管部署へのヒアリング事項〉
- 提出率など提出状況
- 申請から承認までの平均時間
- 提出ミスなどのヒューマンエラー状況
現状フローの分析によって、課題や改善ポイントが見えてきます。また、分析することで、実は統合できるフローや必要のない無駄なフローがあることに気づくことがあります。業務の効率化に関係する事ですので、しっかり分析しましょう。
4.3.新業務フローの設定
現状のフローが分析できたら、次はワークフローツール導入を想定した新業務フローを設定します。どの申請がどういう経路のフローで回していきたいのか?社外からでも承認を許可するのか?など、細かくフローを設計していきます。
4.4.ワークフロー導入前の要件出しと目標設定
ワークフローシステムを導入するにあたり、必須の要件やプラスαでやりたいことを捻出します。例えば、申請者の組織ごとに承認経路を自動で条件分岐させたいのか?や、費用申請時に外部の経路検索結果を取り込みたいのか?といった要件を出し優先度を付けます。
ワークフローシステムのメーカーが検討ポイントを持っているので、問合せてみても良いでしょう。
また、ワークフローシステム導入の目標設定は、課題に対して定量的な目標値を決めると良いでしょう。例えば、申請から承認までの平均時間や申請書の数などが挙げられます。これらは担当者間で共有し、ワークフローシステム導入後に振り返りのミーティングを設定し振り返りましょう。効果のないIT投資は費用の無駄遣いです。
4.5.ワークフローシステムの選定
ここまで来てようやくワークフローシステムの選定に入ります。クラウド製品の場合、アカウントを取得後すぐに使える場合が多いですが、オンプレミス製品によってはサーバーでの作業が必要になってきます。自社の要件や予算、人的リソースなどを総合的に加味して選定しましょう。複数似た製品を選ぶ場合は、両製品の見積りを見比べることをお勧めします。
4.6.運用開始にむけて
運用開始前にやっておきたいのが、ユーザー教育とシステム管理者への管理者教育です。システムにユーザーが慣れるには時間が掛かります。導入直後は、導入前よりもパフォーマンスが落ちることも珍しくありません。このようなリスクを下げるために、事前にしっかりと教育時間を設けて下さい。
この章では、ワークフローシステム導入の流れについて詳しく解説してきました。導入の流れについて理解が進んだのではないでしょうか?次の章では、主なワークフローシステム製品を紹介します。
5.主なワークフローシステム製品
ここでは、代表的なワークフローシステムを紹介します。費用などは更新される場合がありますので、詳細は必ず各製品のホームページにてご確認ください。
製品名 |
提供元 |
費用 |
備考 |
インフォテック株式会社 |
50ユーザ¥60,000~ |
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株式会社ミトリ |
1ID ¥300/月 |
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住友電工情報システム株式会社 |
<クラウド> <オンプレミス> |
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株式会社Knowlbo |
Essentials ¥700/ |
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NTTデータ |
要見積り |
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富士電機 |
700,000円~ |
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6.まとめ
この記事では、ワークフローシステムの基礎知識や導入の流れなど、どこよりも詳しく解説してきました。ワークフローシステムの理解が進んだのではないでしょうか?
ワークフローシステムを活用することで、コスト削減や業務を効率化することができます。近年では、費用を抑えて導入できるクラウド型のワークフローシステムも多くあります。積極的にワークフローシステムを活用し、企業全体の生産性を上げて下さい。