集客や予約管理のために、飲食店予約システムを活用する飲食店が増えています。費用をおさえて使えるサービスもあり、多くの飲食店がシステムを活用して集客や予約管理を効率化しはじめています。
しかし、飲食店予約システムを導入していない飲食店からは、飲食店予約システムがどのようなものなのか分かりづらいという声を良く聞きます。
飲食店予約システムを使ってみたいが…
- 飲食店予約システムがどのようなものか分からない
- そもそも導入すべきなのか分からない
- 製品が多すぎてどれを選べば良いか分からない
このようなお悩みを持っていませんか?
飲食店予約システムは多くのサービスがあり、その特徴も比較しにくいため、どのサービスが自社にあっているか判断が難しいものです。また、実際に導入しても運用がうまくいかず、失敗してしまう事例も多くあります。
そこでこの記事では、飲食店経営者兼コンサルタントの視点から、飲食店予約システムの基礎知識から選定・導入のポイント、おすすめ製品までどこよりも詳しく解説します。飲食店予約システムを導入する際の参考にして下さい。
Contents
1.飲食店予約システムとは
飲食店予約システムとは、飲食店の予約管理の効率化を支援するシステムの事です。お客様が増えるにつれて、ノートやホワイトボードでの予約管理が難しくなってきます。予約のブッキングや情報共有の漏れなど、多くの問題が出てきます。予約情報の管理に掛かる時間も増えていきます。このような問題を解決するための仕組みが飲食店予約システムです。
2.飲食店予約システムのメリット
飲食店予約システムを飲食店に導入するメリットとはどのようなものがあるでしょうか。飲食店予約システムを導入することで、以下のようなメリットを得る事ができます。
- 予約情報をスタッフ間、本部や店舗間でほぼリアルタイムで共有できる
- 予約の取りこぼしを低減することができる
- 電話や来店予約以外の予約方法としてオンライン予約を設けることができる
- 営業時間外にも予約できることで、顧客満足度への寄与が期待できる
このように、飲食店予約システムを導入すると多くのメリットを得る事ができます。しかし、実際はメリットだけではありません。次の章では、飲食店予約システム導入で発生するリスクについて詳しく解説します。
3.飲食店予約システムの主な機能
この章では、飲食店予約システムの主な機能について解説します。この章を読むことで、飲食店予約システムの理解をより深めることができます。
3.1.予約管理
予約登録
予約を登録する機能です。店舗/テーブル別/時間別に予約登録することができます。メモ登録することも可能です。顧客情報と紐付けることもできます。CTI連携できる製品も登場しています。
予約変更・キャンセル
予約を変更・キャンセルする機能です。
予約一覧
予約状況や過去の履歴を一覧表示する機能です。ExcelやPDF出力して本部や店舗スタッフと共有することも可能です。
分析レポート
予約の履歴を集計する機能です。予約の多い店舗や時間帯、人数、予約する人の属性、キャンセル率など様々な分析をすることができます。
3.2.テーブル管理
店舗のテーブルレイアウトと座席数を管理する機能です。予約枠を設ける際など、視覚的にレイアウトや座席数を確認することができます。予約状況をテーブルレイアウトで見ることもできます。
3.3.顧客情報管理
顧客情報を管理する機能です。顧客の基本情報からアレルギー、好き嫌いなど接客に役立つ情報を管理することができます。来店履歴も確認することができます。
3.4.WEB予約フォーム作成
WEB予約フォームを作成する機能です。この機能を使うと簡単にWEBサイトに予約機能を追加することができます。WEB予約フォームから予約された情報は、自動で予約管理機能に登録されます。
3.5.グルメサイト(外部予約サービス)連携
Yahoo!予約やfavyなど、外部のグルメサイトと連携する機能です。外部のグルメサイトから登録された予約情報を自動で取込んでくれるため、複数サイトの予約情報を一元管理することができます。予約の空き時間をグルメサイトに自動アップすることもできます。
3.6.POS連携
POSシステムと連携する機能です。この機能により、売上情報と予約情報、顧客情報がシームレスにつながり、より詳細な分析が可能となります。
4.飲食店予約システム導入で発生する重大なリスクとその対策
オンライン予約システム全体では、美容室や、各種サロン業種などで10年前くらいから積極的な導入が進んできました。一方で、飲食店における予約システムの普及には時間がかかりました。
近年になって大手ポータルサイトや大手ネット通販サイトのブランド名を冠したサービスが飲食店向けに展開を始めた事で、個人店舗でも気軽に導入可能な状態になりつつあります。
一方で、予約システムを導入することで発生する重大なリスクもあります。この章を読んでしっかり学んで下さい。
4.1.最大の問題はNo Show顧客(ドタキャン)の増加
運用上、最大の問題点は、『No Show顧客』が増加する可能性がある。ということです。ここでいう『No Show顧客』とは、「来店なし、連絡なし」のキャンセルを指します。
飲食業界で長年キャリアを積んだ人から、この問題がクリアにできないならオンライン予約システムは実装すべきではない。と言われたことがあります。
この問題を見過ごして導入に踏み切った場合、経営上の問題に発展する可能性もあり得るということです。スマホやタブレットなどインターネット接続が気軽にできる現在では、オンライン予約も気軽に取れる環境が整っています。
ユーザー側は、宴会、パーティーの幹事さんが、とりあえず枠だけ抑えるという目的で、複数の店舗予約を入れ気軽にキープすることも可能です。ユーザー側から見ると非常にありがたいのですが、反面で「キャンセル忘れ」も多発しやすい環境にあると言えるでしょう。
この問題によって、予定していた売上が結果としてマイナスへ変動したり、他の顧客が予約を取れず顧客満足度を損なう、など様々な問題が発生してしまいます。
特に季節のイベント的な時期(忘年会、クリスマス、歓送迎会など)には、多発するという傾向も見られ、経営上の大きな問題となることもあるでしょう。
対策としては、一部のサービスでスタートしたデポジット制度(前金)を活用したり、キャンセルへの対応ポリシーを明確なルール化するなどが挙げられます。
4.2.スタッフのITスキル不足から起きる現場の混乱
まず導入前の大きな問題として、スタッフのITスキルが追いつかないというのは様々な飲食店向けのITサービスを導入する際のメジャーな問題となります。無理矢理導入に踏み切っても現場から不満の声が出てくることが予測できます。
十分なマニュアルや手順書の作成、トレーニング、フォローアップ体制の準備が必要です。飲食業でIT化を進めるには、長期的な視点では、スタッフのITスキル向上の為に研修の機会を継続的に与えていくなどの施策も必要です。
5.注意!導入すべきではない飲食店2つの特徴
少々辛口になりますが、本章で取り上げる特徴をお持ちの店舗では導入は見送る事をお勧めします。万が一、特徴に該当していても対策を取ることで失敗を避けられる可能性がありますので、確認しておきましょう。
5.1.自社webサイトや、グルメサイトをほぼ使っていない店舗
ITに不慣れな店舗では、オープン当初に無理をして自社webサイトを作成したり、SNSアカウントを作成して、放置してしまっているようなケースも見受けられます。季節外れのメニュー写真や、去年の年始の挨拶がトップ記事のブログ、SNS投稿など、、、日々の更新、メンテナンスに手抜きがあると、誰もアクセスしません。
管理しているサイトや、登録しているグルメサイトへのアクセス数がそれなりにある。という状態でないと、予約システムによる集客効果を出すのは難しいと考えられます。
このように、ベーシックなIT運用であるwebサイト、グルメサイトのメンテナンスや、SNS投稿、ブログの更新という事に手が行き届かない状態の店舗では、予約システムを運用することはできないでしょう。
5.2.ITスキルに不安あり!エクセル使うのがギリギリな店舗、本部
店舗スタッフのITレベルはどうでしょうか?そこを要求するのは飲食業界ではなかなかきついのですが、利用方法を周知徹底し、予約受付方法の新しいプロセスを浸透させなくてはなりません。電話予約や来店予約をアナログ管理している場合、予約システムと同期をとらなくてはオペレーションに混乱が生じます。店舗側ではアナログ予約をシステムへ入力するなど、業務が複雑になります。
本部や代表者は、そのプロセスをスムーズに稼働するように設計し、店舗スタッフへ周知徹底する為の手順書作りや、研修を行う必要があります。
利用手順、プロセスの設定と周知、教育を現場に徹底できるか?このポイントは見逃すことはできませんので、店舗スタッフ、本部や代表者にそれぞれITスキルがあるか、それを身につけようというムードがなくては、オペレーションすることは不可能です。
6.絶対におさえておくべき飲食店予約システムの運用ポイント
6.1.全ての席をオンライン予約向けに開放しない
飲食店では、顧客の来店時刻が重なるピークタイムがあります。この時間帯に一般来店の顧客と予約の顧客が次々に押し寄せるとなると、店舗のオペレーションとして好ましくない事があります。
大勢のお客様に来店して頂きたいのは山々ですが、実際にはオペレーション上集中を避けなくては顧客満足度や従業員満足度を損なう危険性もあります。単純に全ての席を全ての時間帯でオンライン予約向けに解放して良いわけではない。という事に気をつけましょう。
6.2.既存予約率の高い曜日のにはオンライン枠を確保する
既に電話予約、来店予約を受け付けている店舗では、特定の曜日に予約が集中していないか、現状を確認しましょう。電話予約、来店予約だけで埋まってしまう曜日にオンライン予約を重ねて受け付ける事になる為、予約を取れない顧客が増加してしまう可能性があります。実装当初は、オンライン向けにいくつか席を枠としてキープするなどの工夫も必要かもしれません。
6.3.キャンセルポリシーと対策アクションを明確化する
オンライン予約を開始すると、必ずと言っていいほど「No Show顧客」が発生します。この件数が非常に多くなる傾向があり、飲食業界全体に波紋を広げています。このNo Show顧客を予防する為に、取れる自衛策を徹底しましょう。以下の対策が有効です。
- オンライン予約については、来店日より前に確認のTELを実施する
- キャンセル料の設定と集金方法、キャンセルに関するポリシーを明確にする
6.4.予約のデポジット制度(前金)の利用を検討する
No Show顧客問題を受けて、対策に乗り出したサービスもあります。予約を入れた際に、システムが連携しているクレジット決済を利用して、デポジット(前金)を事前回収する仕組みです。これによって、キャンセルになる可能性が大幅に削減されることが期待できます。また、万が一キャンセルになってしまった場合、前金をキャンセル料金としてそのまま回収させて頂くようなルール設定をしておくことで予期せぬトラブルも避けられます。
7.主な飲食店予約システム
リスク回避の方法を抑えてさえいただければ、多くのメリットを感じる飲食店予約システムですが、実際どのサービスを導入すべきかの判断のヒントとして、主要サービスを7つ取り上げ、その特徴を紹介していきます。
7.1.TableSolution
特徴
飲食店の業務効率化と集客にとことんこだわっている飲食店予約システムです。飲食店予約システムとしては後発ながら、とにかく飲食店目線の操作性の高さ、痒いところに手が届く機能が飲食店に評価され、シェアを拡大しています。予約機能、事前カード決済、CTI連携、多言語対応、予約分析、メルマガ連携、POS連携など多くの機能を備えています。
提供会社
- 株式会社VESPER
利用料金
- 12,000円~
30席未満は12,000円になります。
30席以上の飲食店は、席数に応じて価格が異なりますので、詳しくはメーカーへお問合せ下さい。
対応外部サービス
- ぐるなび、食べログ、一休、Ozモール、ヒトサラ、食べタイム などおよそ20サイト
7.2.Orange Reserve
特徴
タブレットPOSでも有名。飲食店向けのサービスに注力している。契約内容によっては、営業時間外も自動音声で電話予約を受付けるIVRの仕組みも提供。対応している他グルメサイトのweb予約情報も併用している場合、同期することができる為、予約の重複など管理工数の削減ができる。同社が提供するPOSなどとシリーズを統一することで、オーダーやお会計との連携も期待できる。
提供会社
- 株式会社エスキュービズム・テクノロジー
利用料金
- 9,800円~(要問合せ)
対応外部サービス
- ぐるなび、食べログ、ホットペッパー、オプンテーブル、一休など
7.3.ebica
特徴
グルメサイト連携の網羅率がとても高い飲食店予約システムです。飲食店予約システムに求められるほとんどの機能を備えています。連携できるPOSシステムが多いことも特徴の1つです。
提供会社
- 株式会社エビソル
利用料金
- 20,000円/月(導入費用:50,000円)
※月額12,000円のLiteプランもあります。
対応外部サービス
- Yahoo!予約、ヒトサラ、OZmall、楽天ダイニングなど
7.4.TORETA
特徴
飲食店予約システムに求められるほぼ全ての機能を網羅している飲食店予約システムです。外部連携が豊富な事も特徴の1つです。公式サイトには、具体的な予定と共に今後連携を計画しているサービスを明記しており、将来性を感じさせます。
提供会社
- 株式会社トレタ
利用料金
- 12,000円/月
対応外部サービス
- Yahoo!予約、ヒトサラ、OZmall、楽天ダイニング、Goope、食べタイム、テーブルクロス、TERIYAKI、TRAVEL ZOO、美味案内、favy、ペコッターなど
7.5.LINEグルメ予約
提供会社
- LINE株式会社
利用料金
- 無料(但し、LINE@の登録が前提)
特徴
LINEが提供するLINE上で予約を受け付けるサービスです。LINE独自のサービスとしては、LINEトーク機能で店舗アカウントと「友達」になった顧客へお知らせなどを一斉配信することも可能です。通常の1:1でのトークも可能となっており、他サービスよりコミュニケーション面で優れています。以下2つの方法を使い分けることができます。
- アプリでリアルタイムに受付ける
- 時間帯を指定してLINEから自動音声で入電し受付ける
8.まとめ
この記事では、飲食店経営者兼コンサルタントの視点から、飲食店予約システムの基礎知識から選定・導入のポイント、主な製品までどこよりも詳しく解説してきました。現状や課題など、一概にメリットばかりではない事もご理解頂けたことと思います。
予約システムという大きな枠で見ると成熟していますが、飲食店で採用しようとするとまだ課題が目につく状況です。一方でIT化を推進して効率化していきたい飲食店も数多くいらっしゃるでしょう。まずは、自社店舗に導入した場合のリスクも認識した上で必要な対策を取れるか判断し、導入の可否を検討して下さい。